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犬の気持ちが判断できる「カーミングシグナル」6つの仕草

6/30(金) 19:10配信

サライ.jp

文/柿川鮎子

犬がおしゃべりしたらどんなことを話すのか、飼い主ならば誰もが想像したことがあるはず。何を訴えたいのか、どうして欲しいのか、今どんな気持ちでいるのか、知りたいと思う人は多いでしょう。

犬の行動から犬のきもちを判断する「カーミングシグナル」を理解すれば、犬が何を言いたいのかがわかるかもしれません。

カーミングシグナルとは、群れで生活するオオカミの行動から明らかになったサインです。犬の祖先である狼は群れることで厳しい自然環境を生き延びました。そんなオオカミの群は、一頭のリーダーを頂点にしたピラミッド構造で順位が厳格に決まっており、上位の個体には絶対服従となります。

そして群を安定させるために、互いに「カーミングシグナル」を出し合って、自分のきもちを伝えてきたのです。それは遠い子孫の犬にも引き継がれました。

今回は、知っておくと便利な6つのカーミングシグナルを紹介しましょう。これら基本のシグナルを知って、犬の気持ちに寄り添ってみませんか?

■1:体をかく=ちょっとストレス

痒くもないのに体をかくのはストレスを感じているというサインです。

本当はちょっと休みたいけれど、相手が遊ぼうと言ってくる。相手をしてあげるけれど、自分は他にやりたいことがあるんだ……、まあ仕方がないか、付き合ってやるか、といったところでしょうか。本当にかゆくて体をかく時と違い、ちょっとやる気のないように、後ろ足でササっとかきます。

■2:においを嗅ぐ=無関心

床や近くに置いてある物をフンフン嗅ぐしぐさは、自分が相手に対して無関心であることを示すサインです。

群れでは互いに無用な争いを避ける必要があります。厳しい自然環境の中で暮らす野生のオオカミ。少しのケガでも命取りになります。明らかに体の大きさや体力に差がある相手に向かって、順位交代のケンカを仕掛けるのは自分にとっても相手にとっても無駄なこと。無関心であると相手に伝えることで、戦う意思のないことを伝えています。

■3:体をブルブルふるわせる=緊張からの解放

いつまでも無関心で戦いを避けてばかりいると、相手は増長し、なめてかかります。無駄な戦いはしないけれど、自分は相手より上の順位なのだと知らせるべき場面があります。軽い威嚇で力を見せつけたり、牙を見せて自分より強いと知らせるような順位付け行動をします。

互いに順位を確認し、納得できたら、身体をブルブルふるわせて緊張をときます。

散歩に行ってほかの犬と挨拶をした後、2、3歩あるいて水にぬれた時のように身体を震わせたら、相手に緊張していたという証拠です。

■4:舌を出してペロペロ=落ち着きたい時

体を震わせたあと、座って舌をペロペロするのを見たことはありませんか?落ち着きたい時、犬は舌を出して、興奮して上がった体温を下げるように舌をペロペロします。暑くなくても舌を出すことで、自分を落ち着かせようとしているのです。

本当に暑くて舌を出す時は、呼吸がいつもよりあらく激しくなります。落ち着こうと舌を出す場合の呼吸は普段通りです。

■5:あくびをする=緊張してストレスを感じた、嫌だった

人間だとリラックスして眠い時にあくびがでますが、犬は緊張が高まって、ストレスを感じた時にあくびをします。人間とは真逆の行動です。

あまり好きでない人に触られた後、緊張して嫌だったことを示すためにあくびをします。しつけの最中に大あくびされるとやる気が失せますが、しつけがストレスだと飼い主に言いたいのです。

ただし、普段よりあくびの回数が明らかに増えた場合は、痛みなど病気のサインを出しているのかも。かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。

■6:横を向く=無関心、争いを避ける 

オオカミは目と目を合わせると攻撃の合図と考えます。目が合ったとたんにケンカがはじまります。横を向いて視線を合わせないようにすることで、相手には無関心で、争わないという意思を示します。

目と目が合ってFall in love(恋に落ちて)なのはどうやら人間だけのようで、犬を含めて多くの動物は視線を合わせるのを嫌います。視線を合わせる相手には敵意があると判断されます。

* * *

以上、知っておくと便利な6つのカーミングシグナルを紹介しました。

家庭で飼育されている犬の中には、カーミングシグナルを異なった意味で使っている場合もあるので、これで犬のきもちを100%理解できるとは限りませんが、ぜひ参考にしてみてください。

犬と人とは、コミュニケーション作法が大きく異なっています。愛犬からのサインを正しく受け取ってあげることで、犬にも人にもストレスのない、快適な毎日を過ごすことが可能となるのです。

【参考図書】
『愛犬を長生きさせる食事』
(林文明著、本体1000円+税、小学館)

監修/林文明
日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。ノア動物病院グループ院長。北里大学獣医学修士課程修了。獣医師として実践を積みながら、1998年にはアメリカ コロラド州立大付属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨、東京、ベトナムで5つの動物病院を経営。24時間診療、猫専門病院、動物用CT導入による高度医療などの先進的取り組みを行っている。日本動物医療コンシェルジュ協会の代表理事として、ペットの健康と食事に関する食育指導をはじめ、しつけ関連の指導などに力を注いでいる。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小

最終更新:6/30(金) 19:10
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