ここから本文です

【月刊・白鵬】ハートに火をつけ 「鬼になった横綱」が1年ぶりの優勝

6/30(金) 17:01配信

webスポルティーバ

第72回:1年ぶりの優勝

大相撲夏場所(5月場所)で38回目の優勝を飾った横綱。
昨夏から度重なるケガに悩まされてきたが、
懸命なリハビリと過酷なトレーニングを経て、
完全復活を果たした。その過程を横綱が振り返る――。

【写真】浅田真央の引退を語る白鵬

 6月25日、大相撲名古屋場所(7月場所)の新番付が発表されました。

 先の夏場所(5月場所)で38回目の優勝を遂げた私の番付は、東の横綱。4横綱の中でトップの地位というのは、やっぱり気持ちがいいものですね。

 さて、1年ぶりの優勝となった夏場所は、私にとって決して楽な戦いではありませんでした。

 昨年の夏場所で優勝して以降、私はずっとケガに苦しんで優勝からも遠ざかってきました。その間、今年の初場所(1月場所)で、稀勢の里が初優勝を果たして横綱に昇進。4横綱がそろった春場所(3月場所)では、一段と”優勝”を意識して、順調に稽古を重ねていました。実際、体調もかなりよかったんです。

 しかし、場所の途中で足を痛めてしまい、昨年の秋場所(9月場所)以来、横綱になって2度目の休場を余儀なくされました。本当に悔しかったです。

 休場となって、家族の住む東京に戻って治療するという選択もありましたが、私は大阪に残り、所属部屋にこもって治療に専念していました。他の横綱たちが激しい戦いを繰り広げているなか、その土地から離れたくないという気持ちも強かったと思います。

 場所後は、ケガの治療と肉体改造のため、母国・モンゴルへ渡りました。断食、軍隊式トレーニング、ヨガなどを精力的にこなして、とことん自分を追い込んできました。休場中、師匠(宮城野親方)から「横綱、昔みたいに”鬼”にならなければいけないよ」と、言葉をかけられたことが心に響いたのもあります。

 追いつめて、追いつめて、”鬼”になる――。

 人々の関心が稀勢の里に集中するなかで、私は冗談っぽく「白鵬も忘れてもらっちゃ、困るよ」などと言っていましたが、事実「このままでは、本当に白鵬という存在を忘れられてしまうのではないか……」、そんな危機感に駆られていたこともありますね。

 モンゴルでのトレーニングで心身ともにすっきりした私は、春巡業の後半から巡業に帯同し、土俵上での稽古も重ねました。次第に調子が上向いていくのが、自分でもよくわかりました。

 迎えた夏場所、初日から稀勢の里が嘉風に、鶴竜が御嶽海に敗れる波乱の幕開けとなりました。すると、左足を痛めた鶴竜は5日目から休場。負傷した左腕の状態が思わしくない稀勢の里も10日目までは6勝4敗と踏ん張っていたものの、11日目から休場してしまいました。

 私とともに全勝を続けていたのは、もうひとりの横綱・日馬富士。10日目までは熾烈な争いを展開してきましたが、彼も11日目に1敗を喫して、久しぶりに私が単独トップに立ちました。

1/2ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
4月13日発売

定価 本体1,472円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 平昌への道』
■ヘルシンキの激闘
■宇野昌磨、本田真凜ほか