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あの事件がなければ、“ノンスタの漫才”は終わっていた――ユウキロック×ノンスタ石田

6/30(金) 16:00配信

週刊SPA!

 若者から人気ナンバー1との呼び声が高いNON STYLE。お笑い芸人のリアルを描いた『芸人迷子』(扶桑社)の著者・ユウキロックが、ボケ担当の石田明と対談。

⇒【写真】ユウキロック×ノンスタイル石田

 昨年、ツッコミ担当の井上裕介が例の事件を起こしてしまったのは周知の通り。しかし、じつは大きなチャンスが舞い込んだ矢先のことだったという。事の当日から現在、そして今後の活動まで……石田はどう捉えているのか。ユウキロックが聞く!

◆テレビから動画の時代へ、若者から人気ナンバー1のノンスタは…

ユウキロック(以下、ユウキ):今日はもう一点、聞きたいことがあるねん。

石田:なんですか?

ユウキ:NON STYLEって、若者から人気ナンバー1じゃないですか。

石田:よく言われますねえ(笑)。

ユウキ:でね、昨今は“若者のテレビ離れ”って話が出るやん。でもNON STYLEは、冠番組もってないでしょ。俺、ココがキーなんじゃないかなって思うのよ。だって、俺の時代は、ダウンタウンさん、とんねるずさん、ナイナイさんもいたし、若者に絶大な人気があった人って、みんな冠をもってたのよ。でも、NON STYLEは、若者に絶大な人気があるのに、冠をもっていない。

石田:冠番組……もってないですね。

ユウキ:それならば、冠をもたせたら、若者のテレビ離れが解消されるんじゃないかって少し考えるねん。それで、子供のなりたい職業といえば、いまはユーチューバーですよ。思えば、テレビがない時代は劇場だった。そっからテレビになったわけでしょ。映画や役者の世界もそうやんか。時代とともにテレビになって。それが、もしかすると今後は動画になる可能性が出てきて。まあ、わからへんよ。とはいえ、石田よりもっと後に出てくる世代が、テレビじゃなくて、もう動画のユーチューバーみたいな人のほうが活躍するかもしれないやんか。

石田:多分、その可能性がめちゃくちゃ高くて。むしろ、NON STYLEがいま若手ナンバー1って言われているのは……。結局、YouTubeを見ている人たちばっかりなんですよね。だから、もう昔の漫才の話とかしてくるんですよ。

ユウキ:あー、なるほど。動画を見てるから。

石田:たまに「石田さん、太りましたね」とか言われるんですけど、それめっちゃ昔のやつだから(笑)。

ユウキ:痩せてるときのね。

石田:だから、僕たちってレギュラー番組も少なく、関西で1個ちゃんとあるぐらいなんですけど、なんで人気があるのか全然わかってなくて。でも、ネットを見てみると、NON STYLEって漫才の動画が比較的たくさん載っているんですよ。

ユウキ:石田的には、動画があったから得したってこと?

石田:そうですね。僕はテレビ向きよりも「劇場でいちばん面白い人でいたい」という思いがあるんですけど、そういった面では、動画やYouTubeというのは、すごく利用できるなと。

ユウキ:なるほどね。

石田:でもじつは、それを言ってくださる方も多いんですよね。実際に動こう、動こうみたいな感じもありながら……井上のあんな件もあったんで、もう厳しいでしょうねぇ。

ユウキ:え、どういうこと?

◆大きなチャンスの矢先、“あの事件”が起きた…

石田:あの日の夜……まあ、とある大物の方と飲んでいたんですよ。企画をバーッと出して、番組を立ち上げようという話をしていた矢先。ネットニュース、ドーン!

ユウキ:すごいタイミングやね(笑)。

石田:そこで、「もしかしたら、俺たちはこういう運命なんやな」って思いました。

ユウキ:ぶっちゃけ、あれはいつ知ったの?

石田:詳細はネットニュースで知りました。井上が事故を起こした次の日の朝10時ぐらいに「迷惑を掛けるかもしれない」とLINEがありまして。

ユウキ:普段は井上からメールが来たりはする?

石田:いや、全然来ないです。突然LINEが来たので驚きましたけど。「詳細はマネージャーに聞いときます」って返したんですが。まあ、別にあえて聞かないじゃないですか。そしたら、夕方にネットニュースで知りまして。

ユウキ:結構、大きなことになってたと。それで、どう思った? もう漫才でけへんかもとか思った?

石田:僕は正直、テレビは厳しいかもなと。どちらにせよ、NON STYLEって、テレビに向いてるのって井上じゃないですか。

ユウキ:まあ、井上のほうがテレビに出ているとなると、一応そうなるのかな。

石田:たぶん向き不向きでいくと、井上がテレビに向いてて、宣伝隊長みたいなことやと思うので。そこで、テレビでの宣伝がなくなるとなれば、違う方法を考えないとアカン。だから、僕たちはちょこちょこライブをやりながら、YouTubeチャンネルを立ち上げて、DVDにする用と、YouTubeにアップする用で録り分けたりして。動画をうまく宣伝材料にしながらやっていこうかな、って感じになってます。

ユウキ:戦略家やね。でも、まあ、なんというか……大事に至らなくて。

石田:そうですね。向こうも優しい方だったので。でも本当に良かったと思うのは、それまで、井上が漫才をやる気がなくなっていたんですよ。

ユウキ:俺も聞いたことがあるわ。あんまりルミネの舞台にも立ちたくないとか言ってたらしいじゃん。

石田:ルミネもなるべく減らして、地方も何か月に1回にしてほしいとか。

ユウキ:テレビ思考やな。まあ、跳ねてたしね。

石田:でも結構、悪態もついてたんでヤバいなと。どこがスーパーポジティブシンキングやねんって(笑)。

ユウキ:2人としては、ちょっとギクシャクもしてた?

石田:そうですね。文句を言いながらでも、ちゃんとやってたら良かったんですけど。舞台上で、あからさまに機嫌が悪かったりとか。

ユウキ:これは同業者だからわかるんだけど、熱量の違いを感じてた。近頃の井上は熱くないなって。

石田:そうなんです。僕は、松口さん(ユウキロック)がどう思ってるのかわかんないですけど、ハッキリ言って、漫才というのは、ツッコミのもの。

ユウキ:俺もまったく同じ考えや。

石田:ツッコミ次第で、漫才って豹変する。ボケって、そんなに伸びないと思ってるんです。いろんな芸人の過去の映像とかを見てもらったらわかると思うんですけど、ボケの人って、あんまり変わんないんですよ。でもツッコミの人を見れば、「これは古いやつ」「これは新しいやつ」ってわかると思うんです。

ユウキ:何もないところで、その人がツッコミを入れただけで笑いが起きるっていうのが、俺は“腕”やと思うねん。誰かが何かをしたからツッコンだなんて、プロの芸人やったら当たり前。だから、何もないところで「なんであんなウケんねん」みたいな笑いをとれる存在がツッコミやと思っとる。要するに、ボケって主観だと思う。ボケ方が形になってくると、それがいわゆる“NON STYLEの形”であり、“ハリガネロックの形”でもある。そこから、もっと向上させようとするならば、ツッコミの力量に掛かってくる。ワードセンスもしかり。だから、そこをツッコミが考えてくれないとコンビとしても育たないというか……。

石田:ツッコミ側ができることが増えたら、ボケ側が出来ることも増えたりする。多分、その繰り返しなんですよね。でも、一般の方はボケを見ても違いがわからない。一方で、ツッコミはあからさまにわかる。

ユウキ:だからツッコミって、「このボケを笑かしたろ」と思ってるヤツと、そうじゃないヤツの差って、すごくあるよね。

石田:一矢報いて欲しいんですよね、こっちに。

ユウキ:そう。一応、我慢してんねんで。ボケなアカンから我慢してんねんけど、プッとさせてほしいもんね。

石田:そんな熱量が1ミリもなくなった井上なんかね……いや、ツッコミはうまいと思うんですけどね……ハッキリ言って、漫才師としての価値がないと思っていました。それで、じつは結構シビアなことも言ってたんですよ。「そんなに嫌なんやったら、来年は漫才の仕事、もう全部断っていいで」って。

ユウキ:おお……。

石田:俺は俺で別に仕事があるし。テレビのことだけやって、それだけで食っていけるんやったらええやん。そしたら、アイツも「いや、それはまたちゃうやん」と言う。でも「漫才をやりたくないのは、俺へのリスペクトがないわけでしょ」っていう話をして。

ユウキ:石田はネタも作ってるしね。

石田:それでもういいよってなったら、マネージャーが止めに入って「ちょっと冷静になりましょう」って。こっちは冷静に言ってるのですが。

ユウキ:NON STYLEはお客さんの動員力もあるしさ、看板をもってもらわなアカンから。ほんで、吉本興業に会社として間に入ってもらった矢先ぐらいのときに、そういう事件が起きたんや。それで、心を入れ替えようっていう機会になったと。

石田:まあ、今はとりあえず、漫才を頑張っていますけどね。とりあえずね(笑)。

ユウキ:いやあ、頑張ってくれるはずだから大丈夫よ、もうこのイベントに井上呼ぶわ!

◆井上のキャラを見出したのはユウキロックだった!?

石田:これ覚えているかわからないですけど、井上のキャラを見出したのは、ユウキさんとテンダラーの浜本さんなんですよ。

ユウキ:あら、そうなん?

石田:僕たちが、若手1年目、2年目ぐらいのときでした。井上の“イタさ”を、最初に首根っこ捕まえたのが、ユウキロックさん。めちゃくちゃいじり倒して、最初は井上も不機嫌だったんですよ。「俺はそんなんじゃない」みたいな。

ユウキ:まあ、アイツの本意じゃないもんね。

石田:でも、そんなプライドもコテンパンになるぐらい笑いを取りまくって。そしたら今度は、井上がいい気分になっちゃって(笑)。とにかくウケるから、僕がそういうネタを作っても受け入れてもらえるようになったんです。

ユウキ:そうだったんだ。じゃあカレンダーか知らんけど、俺が20%ぐらいもらわないと(笑)。でも前に、井上がUWFの田村潔司選手に似ているとも言ったんだけど、それはまったくウケへん……。

石田:ずっと言ってますよね。

ユウキ:俺がプロレス好きなだけで、全然ウケへん。そして、今日もあんまウケてへん(笑)。いつかは井上に赤パンを穿かせたい。ともあれ、今日は話ができて、本当に良かったわ。NON STYLEが自分と同系統の代表だと思ってるから。かつてハリガネのライバルだった中川家とか倒してよ。

石田:僕は本当に勝ちたいと思っているんで。

ユウキ:やっぱり同じ舞台、同じ時間に立つとき、シノギを削ったほうが、結局はみんなが得するから。

石田:お客さんには、NON STYLEが誰よりも面白いと思って帰ってもらいたい。

ユウキ:絶対に勝ってよ。前回、中川家がこの対談に出たときに、「あのときのすごかったネタ、最近はなんでやらへんの」って聞いたの。そしたら、「いや、もうワシらは歳だからでけへん」みたいことを言ってたからさ。これからも井上と力を合わせてね。ムカつくこともあるだろうけど、続けてください!

<取材・文/藤井敦年、撮影/林紘輝>

日刊SPA!

最終更新:6/30(金) 16:00
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