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川口能活・41歳に、「いま自分がJ3相模原にいる理由」を聞く

7/1(土) 8:11配信

webスポルティーバ

 目もとに刻まれた皺(しわ)は、いやでも目立つようになった。それがまた、歩んできたキャリアの濃さを映し出し、人間としての深みをも感じさせる。8月で42歳になる川口能活は、J3のSC相模原に加入して2年目を迎えている。

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「キャンプのときに少し負傷したこともあって、なかなかコンディションが上がらなかったんですけど、自分に出番がないなかでも、いつでも試合に出られるように準備はしていました」

 開幕からベンチを温める日々が続いていた川口に、チャンスが訪れたのは5月28日のJ3第10節、栃木SC戦だった。それまで正GKを務めていた藤吉皆二朗が負傷したことで、急遽、出場機会は巡ってきた。

 川口は今季リーグ戦初出場となったその試合で、1-0の完封勝利に貢献する。昨シーズン残り3試合で守護神の座を明け渡してから――オフをはさんだとはいえ――7ヵ月の月日が流れていた。

「ケガでというのはありましたけど、それ以外ではこれだけ長い間、出番がなかったことはありませんでしたね」と、川口は振り返る。

 J1はもちろん、欧州でのプレー経験もある。日本代表でも長きにわたってゴールマウスを守ってきた。キャリアの晩年を迎えているとはいえ、それだけの実績がありながら、ピッチに立てないもどかしさと、川口はどう向き合ってきたのか。その質問をぶつけると、彼はこう答えた。

「(開幕前に)試合に出ることにこだわってくださいって言われたことが、自分のなかで実はすごいうれしかったというか、何て言うんだろう……肥やしになったんですよね。ベテランがチームで生き残っていく術(すべ)を考えたとき、どうしてもチーム全体を見るだとか、バランスを取るだとか、チームから求められる役割もだいたいそういうものになっていくじゃないですか。でも、そういったなかで、自分が何のために、このJ3のSC相模原にいるのかというのをずっと考えてきた」

 その思いは、今シーズンに限った話ではない。少しだけ時をさかのぼれば、昨シーズンのホーム最終戦、川口は選手を代表してサポーターに挨拶をしたのだが、その声はうわずり、何度も、何度も言葉に詰まった。あまりにたどたどしいスピーチに、周囲は少しざわつき、「緊張しているのでは」「慣れていないのでは」と邪推するほどだった。

 だが、実はそうではない。あのときの川口は、リーグ戦残り3試合でスタメンを外され、ピッチに立てずスピーチしている自分自身に憤(いきどお)っていたのだ。

「試合にも負けていたし、失点も重ねていたので、もしかしたら(先発を)外されるかもしれないという気持ちはあった。当然、ホーム最終戦に出られなかった悔しさもありましたけど、それ以上にいろいろな感情が交錯して、思うように言葉が出てこなかったんです」

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