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新たなPK戦「ABBA(アバ)方式」で先攻有利は改善できるのか?

7/1(土) 17:20配信

webスポルティーバ

 日本が10年ぶりに出場したU-20W杯で、決勝トーナメントに進出したのはまだ記憶に新しいところだが、その大会でPK戦に新方式が導入されていたことは、あまり知られていない事実だろう。

【写真】日本の宿敵オーストラリアが強くなっていた

 通称「ABBA(アバ)方式」と呼ばれる新PK戦方式が、なぜ導入されたかと言えば、理由は簡単。PK戦では、先に蹴る先攻が有利というデータがあるからだ。

 FIFA(国際サッカー連盟)に先駆け、今年行なわれたいくつかの国際大会で同様の新方式を採用したUEFA(欧州サッカー連盟)の公式HPによれば、「IFAB(国際サッカー評議会=サッカーのルール制定機関)によると、サッカー競技規則で勝負の決着方法として定められている現行のPK戦システムでは、先に蹴るチームが不当に有利になることが明らかになっている」という。

 そこで、PK戦における先攻と後攻での有利不利をなくすため、AチームとBチームが対戦したとき、従来のように常にAが先に蹴るのではなく、新方式では1本目をAが先に蹴ったら、2本目はBが先に蹴り、3本目は再びAが先に蹴る、というように、1本ずつ交互に先攻後攻を入れ替えていく。

 つまり、今まではA→B→A→B……の順に蹴っていたが、新方式ではA→B→B→A……の順に蹴ることになるため、「ABBA方式」と呼ばれる。テニスに詳しい人なら、タイブレーク時のサーブ権をイメージするといいだろう。

 では、実際のところ、この新方式は公平性という点でどの程度の効果が見られたのだろうか。U-20W杯でPK戦までもつれ込んだ試合を振り返り、検証してみたい。

 この大会では決勝トーナメント全16試合のうち3試合が延長戦でも決着がつかず、新方式によるPK戦が行なわれている。結果は以下のとおりだ。

◆準々決勝(PK戦)ポルトガル4-5ウルグアイ
ポルトガル ○  ○○  ○×  ××
ウルグアイ  ○○  ○○  ××  ○

◆準決勝(PK戦)ベネズエラ4-3ウルグアイ
ベネズエラ ○  ○○  ×○
ウルグアイ  ○×  ○○  ×

◆3位決定戦(PK戦)ウルグアイ1-4イタリア
ウルグアイ ○  ××
イタ リア   ○○  ○○

 3試合の結果を見れば、先攻の1勝2敗。先攻有利は是正されているように見える。

 しかし、わずか3試合のサンプルしかなく、勝敗の結果だけに目を向けることはあまり意味がない。この3試合のサンプルケースにおいて注目すべきは、PKの失敗に”ある傾向”が見られるという点だ。

 ポイントは、1本目を先攻に蹴り始めたチームでは3、5、7本目、1本目を後攻で蹴り始めたチームでは2、4、6本目。つまり、同一チームが2本連続で蹴る2本目のPKである。

 3試合でPK失敗は全部で10本あったが、そのうち5本がこの”2本連続の2本目”に該当するのだ。

 10本のうち5本なら、確率は50%。単純な数字だけなら、”2本連続の2本目”が特段失敗の確率が高いとは言えない。そこで、失敗の内容をもう少し細かく見てみたい。

“2本連続の2本目”で失敗した5回のPKのうち3回は、その直前のPK、”2本連続の1本目”で失敗が起きている。つまり、1本目に引っ張られる形で2本目の失敗が起きているのだ。

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