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東大を中退、起業した学習塾は経営難――。ベストセラーシリーズ「空想科学読本」は挫折から

7/1(土) 18:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 累計500万部突破のベストセラー『空想科学読本』シリーズ。その最新刊は、角川文庫版としてその第2弾が発売となった。『ルパン三世』石川五エ門の斬鉄剣は何でも斬れるのか、『弱虫ペダル』巻島裕介のダンシング走法は本当に速く走れるのかなど、厳選の傑作テーマ32本を収録。その読みどころを、同シリーズの誕生秘話も合わせて、白衣がトレードマークの著者、柳田理科雄さんに伺った。

■中学生の時代の議論が唯一無二のジャンルを生む

 記念すべき第1作が刊行されたのが1996年。その後、シリーズ化され、ジュニア版も加わり、今年で21年目を迎える。ここまで続くとは夢にも思わなかったと、柳田さんは言う。それもそのはず。そのきっかけは、生活のための、いわば「苦肉の策」だからだ。

 小学生の頃から「科学者」を夢見て、鹿児島の名門県立高校から東大理科Ⅰ類に進学する。しかし、大学との折り合いが悪く中退。その後、塾講師を経て、30歳のとき、理想とする学習塾「天下無敵塾」を立ち上げた。しかし、「経営的センスがまったくなかった」ために、経営は5年で立ち行かなくなる。

 そんな柳田さんに「本を出さないか」と声を掛けたのが、中学時代の同級生だった、編集者の近藤隆史さん。着想のヒントは中学時代。ウルトラマンは身長40メートルに対して、体重は3万5000トン。これは重すぎないか。そんなことを夢中で議論していた。それを科学的なアプローチで検証して、読み物にしたら面白いのではないか……。しかし、当の本人は乗り気ではなかった。文章を書くことに興味も喜びも感じられなかったからだ。それでも引き受けたのは、収入という魅力だった。

「何の実績もない無名の人間が書く本としては、異例の初版1万部。しかも、印税契約でした。計算すると96万円が手元に入る。それを聞いて即、引き受けました。しかし、人を楽しませる文章なんて書いたことがありません。結局、4回書き直して、やっと刊行にこぎつけました」

 そして世に出た「空想科学読本」は60万部の大ヒット。一方、著者自身は本を書くのはこれが最初で最後と決めていた。しかし、手にした資金で塾の再建を望んだものの、幸か不幸かそれは実現できず、気がつけば2冊目を執筆することに。空想科学という唯一無二のジャンルでのベストセラー作家は、こうして生まれることになる。

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