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「睡眠負債」の返済は計画的に 就寝1時間前からスマホはNG

7/2(日) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 6月18日に放送された『NHKスペシャル』でも〈睡眠負債が危ない~“ちょっと寝不足”が命を縮める~〉と題してこの問題を大きく取り上げ、話題を呼んでいる。睡眠負債とは、毎日1~2時間の寝不足が借金のように積み重なり、やがて“債務超過”に陥ると、がん、認知症などをはじめとする重大な疾病を発症させる可能性があるのだ。

 様々な疾病リスクを生む睡眠負債。週末や予定のない日に「寝だめ」すれば、“借金”を返済できるかというと、そう簡単ではない。脳神経科学などを専門とする枝川義邦・早稲田大学研究戦略センター教授が解説する。

「平日で積み重なった負債を週末で一気に返済しようと無理矢理長く寝ると、生活リズムが乱れてしまい、平日の睡眠の質が落ちるなど弊害が大きくなる恐れもあります。

 結局、睡眠負債の返済は『コツコツ計画的に』やるのがよい。とくに中高年は、一気にたまった負債を解消することはできないので、少しずつ睡眠習慣、生活リズムを改善していくしかないのです」

 日中に眠気が生じない、自分にとっての適切な睡眠時間を確認した上で、できる限りそれに近い睡眠が確保できるように生活サイクルを設定していくということだ。さらに、東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身(おさみ)院長は、「睡眠の質を上げることにも留意すべき」と指摘する。

「スムーズに眠りにつけるようになれば、布団に入っている時間は同じでも実質的な睡眠時間は長く確保できます。布団に入ってからスマホをいじったりすると、自律神経が興奮した状態になり、眠気を催さなくなってしまう。眠る1時間前から、携帯電話はいじらないようにすべきです」

 前出・枝川氏は、睡眠の質を上げる方法として、就寝の1時間前に湯船にゆっくりつかるという方法を推奨する。

「風呂に入ると、深部体温が高まり、その反動で約1時間後に下がってくる。深部体温が下がった時に、眠気が訪れるのです」

 睡眠負債は、いわば長年にわたってたまりにたまった「ツケ」である。その返済には根気と工夫が必要だ。

「1日24時間を、睡眠をマネジメントするためのものとして捉え直すのです。睡眠負債を抱えている人は、生活サイクルのなかのどこかに問題があるということ。

 寝る前にカフェインを摂らないといった基本的な改善はもちろんのこと、起きたらすぐに日光を浴びるといった地道な取り組みも有効でしょう。太陽の光を浴びると、14~16時間後にメラトニンという脳内ホルモンが溜まってきて、自然に眠気がやってきます。起きてから16時間後に眠くなれば、8時間の睡眠が確保できる」(同前)

 膨れあがってしまった“借金”は少しずつ、着実に返していく以外ないのである。

※週刊ポスト2017年7月7日号