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漫画家 山下和美「変化を楽しむ数寄屋暮らし」 [おとなスタイル]

7/2(日) 10:00配信

講談社 JOSEISHI.NET

マンションで長年ひとり暮らしを続けてきた漫画家の山下さんが一念発起して建てた数寄屋は、四季を身近に楽しめる、風情溢れた和の住まい。

和の風情に心を整え、季節の移ろいを慈しむ

伝統的日本建築を手がける建築家との運命的な出会いにより、長年のマンション暮らしを捨て、数寄屋を建てる決意をした山下和美さん。それは人気漫画家として走り続けてきた彼女が、人生でふと立ち止まった瞬間だった。
「以前から、お茶室の世界に憧れはありました。こんな完璧な空間があれば、一生インテリアに悩まないだろうなと。茶室の様式を取り入れた数寄屋造りは、初期投資にお金はかかりましたが、完成したら一生変えなくていいというのは発見でした。普通の家は経年劣化でいろんなところがチグハグになることもありますが、数寄屋は年月を重ねるほど味が出る。今から楽しみです」

お寺の裏という閑静な環境に建つ山下邸。格子戸をくぐり、玄関ホールから和室広間に入ると、そこにはお寺の雑木林を借景にした、静謐な空間が広がっている。掘りごたつに座り庭を眺めれば、どこか懐かしい気持ちに包まれていく。
「2階の仕事場は、残念ながらいつも散らかっています。だからこそ、ここだけはモノを置かないと決めたんです。片付いた客間がひとつあると本当に便利。急な来客にも慌てません」

仕事に忙殺されていても、心休まる空間がある幸せ

6年前に越してきたとき膨大にあった荷物は少しずつ整理し、念願のすっきりした空間にした和室。外に出ているのは掘りごたつと座卓だけ。ソファもテーブルも飾り棚も必要なし。テレビさえも押し入れに収納し、エアコンも天井裏へ設置する徹底ぶり。ふだんはスタッフとここで食事もするが、生活臭は残さない。
一方、台所は使い勝手と掃除のしやすさを優先し、システムキッチンにステンレスを採用。ただし和室と違和感のないよう上部の棚は木製扉を合わせた。

「モノを捨てられない性分だから」と、廊下横には、収納部屋を確保。ここに処分一歩手前のモノを保管し、1年後に未練を感じなくなったら手放すことにしているそう。仕事柄増え続ける本は、廊下の本棚と階段の壁面にまとめて収納。すっきりモノのない空間は、じつは地道な工夫と努力の賜物だった。

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