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「新車の決定権、66%が女性」 日産が社内改革を本気で進める理由

7/2(日) 16:10配信

NIKKEI STYLE

成果を生むダイバーシティ

 カルロス・ゴーン氏を主役に据え、2015年から開かれている「逆風下のリーダーシップ養成講座」(日産財団主催)。その成果をまとめた本「カルロス・ゴーンの経営論」からグローバル・リーダーシップをめぐるゴーン氏との質疑の一部を連載していきます。今回はダイバーシティから成果を生み出すことについて、ゴーン氏が答えます。

ダイバーシティ自体が成果をもたらすのではない、そのマネジメントが成果をもたらす

Q ダイバーシティから成果が生まれてくるような環境をどのようにして作ればよいでしょうか。どうすれば多様性を前面に出すことができるでしょうか。
 とても良い質問だと思います。まず大事な点を申し上げると、ダイバーシティがあること自体が企業に成果をもたらすのではありません。そうでなく、ダイバーシティをマネジメントする方法が企業に成果をもたらすのです。この2つを、多くの人は混同しがちです。

 例えば、ある企業が「ダイバーシティは重要だ」と言って、様々な背景や性別の人を雇ったとします。けれども、同じ職場にいても彼ら・彼女らがコミュニケーションをとらずにいれば成果は上がりません。ダイバーシティというものをマネジメントしてこそ成果が上がるのです。

 私どものダイバーシティ・マネジメントの事例を説明しましょう。

 新車を販売する時、お客さまの66%は女性なのです。つまり、女性が「この車を買うことに決めた」と意思決定をする場合が66%もあるのです。この数値からすると、自動車メーカーも女性中心で組織されていてよいはずです。けれども、現実はそうなっていません。自動車メーカーは男性中心社会です。つまり、男性中心社会で生み出された新製品を、多くの場合は女性が購入しているという構図になっているのです。

 女性は、男性と違う見方で車を選びます。例えば「GT―R」という車がありますが、男性は車のフォルムとかエンジンの力強さとかで選ぼうとします。対して、女性は、男性があまり関心を払わないようなところにも目を向けています。例えば、室内空間はどうかとかパネルがおしゃれか、といったことです。

 こうした同じ製品に対しても選ぶ時の見方が異なるというのは、統計データとしても出ています。ですから、女性の要求に応えることのできる製品を女性が開発するということであって、決して「社会でダイバーシティが叫ばれているから」といった流行やトレンドに応じたものであってはなりません。自動車メーカーにもっと女性を登用すれば、購買者の大半を占める女性の求めに応じた車作りができる。ビジネスをしていくうえで、理にかなった方法として、女性を登用すると考えなければならないのです。

 1つ加えておくと、ダイバーシティ・マネジメントは、女性の登用の仕方の話だけではありません。日産自動車は日本企業ですが、役員には私以外にも、日本国籍でない人達が名を連ねています。それは、会社の国籍を否定するためではありません。経営陣が、会社を常に同じ方向に進めようとしたり、同じような決断を下そうとしたりするのを防ぐためです。これは、世界の自動車市場を考えれば理にかなっています。

 世界85か国のなかで、中国には2500万台のマーケットがあります。欧州には合計1800万台、アメリカには1700万台があります。日本はというと500万台しかありません。日本企業であるとしても、世界の市場でビジネスをするには、中国、欧州、アメリカの状況を把握できていなければなりません。そうした状況把握においては、その国で過ごし、その国の潮流を経験してきた人の感覚や意見が重要になります。

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最終更新:7/2(日) 16:10
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