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『関ジャム』出演! 作詞家zoppが語る、ヒットする応援歌の共通点「平歌とサビは目線が違う」

7/2(日) 17:00配信

リアルサウンド

 修二と彰「青春アミーゴ」や、山下智久「抱いてセニョリータ」など、数々のヒット曲を手掛ける作詞家・zopp。彼は作詞家や小説家として活躍しながら、自ら『作詞クラブ』を主宰し、未来のヒットメイカーを育成している。これまでの本連載では、ヒット曲を生み出した名作詞家が紡いだ歌詞や、“比喩表現”、英詞と日本詞、歌詞の“物語性”、“ワードアドバイザー”などについて、同氏の作品や著名アーティストの代表曲をピックアップし、存分に語ってもらった。第11回目となる今回は彼がワードアドバイザーを務めたMACOの「恋するヒトミ」の話題から、“応援歌”や“大衆歌”の共通点について話を聞いた。(編集部)

第1回(きゃりーぱみゅぱみゅと小泉今日子の歌詞の共通点とは? 作詞家・zoppがヒット曲を読み解く)(http://realsound.jp/2015/03/post-2718.html)
第2回(SMAP、NEWS、Sexy Zoneの歌詞に隠れる“引喩”とは? 表現を豊かにするテクニック)(http://realsound.jp/2015/05/post-3154.html)
第3回(ワンオクやマンウィズ海外人気の理由のひとつ? 日本語詞と英語詞をうまくミックスさせる方法)(http://realsound.jp/2015/06/post-3606.html)
第4回(ジャニーズWEST、NEWS、乃木坂46…J-POPの歌詞に使われている“風諭法”のテクニックとは?)(http://realsound.jp/2015/07/post-4064.html)
第5回(ジャニーズWEST、山下智久、ドリカム……なぜJ-POPの歌詞には“物語”が必要なのか?)(http://realsound.jp/2015/12/post-5637.html)
第6回(プロの作詞家がバンドの歌詞にアドバイス? 「ワードアドバイザー」が目指していること)(http://realsound.jp/2016/02/post-6193.html)
第7回(zoppがももクロ新作で試みた“作詞家の作曲術”「ライバルだった人たちと一緒に仕事ができる」)(http://realsound.jp/2016/03/post-6802.html)
第8回(作詞家zoppが“アイドル育成集団”をプロデュースする理由「生活に根ざしたコンセプトを」)(http://realsound.jp/2016/11/post-9970.html)
第9回(zoppが考える、SMAPの歌詞が色あせない理由「調べると、あらゆる視点での面白さに気づける」)(http://www.realsound.jp/2017/02/post-11189.html)
第10回(亀と山P、テゴマス…...作詞家zoppが考える“続編”曲の面白さ「深読みは歌詞だからこそできる」)(http://www.realsound.jp/2017/06/post-79236.html)

【zoppのプロフィールなどが分かるインタビューはこちら】(http://realsound.jp/2015/02/post-2458.html)

■「応援歌は「『世界に一つだけの花』方式」が多い」

ーー前回は「続編」の話からzoppさんの歌詞は映画のような作り方をしながらも、漫画的な表現が入っているという話になりましたね。

zopp:僕は本当に活字に弱いから若い頃に「作詞家になりたい」と言ったら、両親に多くの作家が小説やポエムを読んでいるし、あなたも「天声人語」(朝日新聞)を読みなさい、とか言われて。でも、皆がやっていることをやっても追いつけないじゃないかと思ったんですよ。他の人とは違う形で作詞をしていきたかったので、本を読むことや作詞を研究をすることではなく、自分が好きな漫画や映画をいかに作詞に生かせるかを考えました。その中でPOV(=Point of View Shot)で撮影された、主人公と同じ目線で体験できる映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』があって。それまでは俯瞰で見ている映画が多かったですよね。

ーーPOVの映画だと、『クローバーフィールド』とかもそうですよね。

zopp:そうそう。それまでのホラー映画だと後ろからお化けが近づいてきてお客さんがワーワー言っていたけれど、POVだと主人公と同じ目線で霊体験ができる。そういう映画が好きで、僕は一時期主人公の目線で全てを映して作詞をしていたんです。そうするとリスナーも主人公と同じ目線でいられるので、自分があたかも体験してるかのように聴こえるんです。そんな風に、とにかく他の人がやっていないことをやろうと考えてましたね。

ーーなるほど。直近のお仕事についても伺いたいのですが、zoppさんは今回、MACOさんが5月にリリースしたシングル曲「恋するヒトミ」のワードアドバイザーを務められていますね。

zopp:今回は『MACO × ACUVUE(R)』のCMタイアップが決まっていたので、それに添ったエピソードにしながら、僕がいろいろカウンセリングというか、話を聞きながら内容を決めていきました。なので「目(ヒトミ)」をキーアイテムとして作っていきましょうというのもあらかじめ決まっていて。どうしてもシンガーソングライターの方は自分たちでも嫌になるぐらい同じようなテーマの曲を書いてしまいがちですよね。前回の話と繋がりますが、彼らは毎回自分の話ーー常に「続編」を書いているとも言える。だからいつも僕が言うのは、「好き」とか「愛してる」は極力言わないようにしよう、ということなんです。言うとしても一カ所で、サビに入れるんだったらそれ以外のところには入れちゃダメだ、って。あとは今の自分を書こうとすることが多いので、昔はどうだったのかという話をします。アーティストとして成功すると生活が変わるじゃないですか。以前のような自由な行動ができなくなるので、歌詞に書けることも少なくなってくると思うんですね。でも学生時代とかは本当に色々なものに触れる時間があって、歌詞に書けることがあるはずなんですけど忘れてしまう。それを僕が掘り出してあげるんです。

ーー「恋するヒトミ」は最初のフレーズ<おはよう今日もあなたに恋してます>がキャッチーですよね。一方でサビの<Show Me!>というフレーズの使い方がこれまでのMACOさんの楽曲とは違うとも感じました。ポップスとしての強度が上がっていて素晴らしい歌詞でした。

zopp:打ち合わせの時点でも彼女は自分について書くことが多いということだったので、「じゃあ今回は違う人の話を書こう」と提案しました。恋愛を応援する側になればいいじゃないか、と。「サビはMACOちゃんでいいよ、でも平歌はMACOさんじゃない誰か、MACOさんの友達とかにしましょう」という話をしたんです。

ーーだから平歌とサビの印象が全然違うんですね。

zopp:僕はこれを「『世界に一つだけの花』方式」と呼んでいるんですけど、SMAPの「世界に一つだけの花」も平歌とサビは目線が違うんですよ。平歌は<花屋の店先に並んだ/いろんな花を見ていた>と、細かいディテールもあるのでSMAPの目線ではない。でもサビになると<そうさ/僕らは/世界に一つだけの花>となって、あそこは目線がSMAPなんです。応援歌は平歌に自分ではない、とあるAさんがいて、サビでそうだよね、頑張ろうというようなことを言うパターンが多い。「『世にも奇妙な物語』方式」とも言えるんですけど。色々なエピソードがあって最後にタモリさんがいる、みたいな。平歌のキャラクターがそのままサビを引き継いでしまうと、歌の最初では悩んでいてちょっとしたことに気付いただけなのに、サビでこんなに達観していいの? という違和感にリスナーも襲われてしまうんです。

ーーそうですね。平歌のディテールが細かければ細かいほど、サビでもその細かさを引き継がないといけない。

zopp:そうなんです。平歌でこんなひ弱なやつがサビで急に偉そうなこと言わないだろうって。サビで<僕ら>と使っている歌詞は、大体そこからが歌手目線だと思います。「サイレントマジョリティー」(欅坂46)とかもそうなんじゃないかな。秋元さんも結構そういう手法を使われることが多いですね。「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)も平歌でカフェにいるキャラクターがいて、でもサビは<恋するフォーチュンクッキー>という歌詞でAKB48さんが歌っている感じがするので。ヒット曲にはそういうパターンが多いと思います。

■「大衆歌の場合は平歌の部分に“あるある感”を出せるかが重要」

ーーキャッチーな言葉や曲の全体像がサビにあって、でも平歌でそこを補強するキャラクターがいる、というのはJ-POPの王道パターンと言っても良いかもしれませんね。

zopp:そうですね。超大衆曲だと思います。だから、応援歌はドキュメンタリーなんです。悩んでいる人を平歌で歌って、サビで応援してあげている。

ーー大衆歌は、街鳴りやTV番組、CMでサビだけを聴いて知ることも多いですもんね。

zopp:はい。歌詞は主観だけで終わるパターンと、主観と客観・俯瞰の両方を入れるパターンがあるんです。シンガーソングライターの方は大体皆さん自分の話なので、主観だけのパターンだと思います。今の時代、1曲を通して聴く機会は少なくなってきています。CMで流れるサビでは俯瞰で歌っていて、その歌詞に勇気づけられて1曲通して聴いてみたら平歌にエピソードがいくつかあるから、二度楽しめる。特にCMのタイアップができたころぐらいからはそういう作り方が多くなってきている気がしますね。CMで曲が流れる時間、サビ頭の15秒とかですから。

ーーなるほど。「『世界に一つだけの花』方式」の元祖ってどの曲なんでしょう?

zopp:「明日があるさ」ですかね。この曲は大衆歌の中でも特に、<いつもの駅でいつも逢う/セーラー服のお下げ髪/もうくる頃 もうくる頃/今日も待ちぼうけ>という平歌と<明日がある 明日がある 明日があるさ>というサビが全く違う目線な気がします。

ーー確かにこの曲は1番も2番も3番も、平歌のディテールがとても細かいです。平歌にある主観の部分が具体的からこそ、より共感できるんですね。

zopp:そうだと思います。大衆歌の場合は平歌の部分にいかに“あるある感”を出せるかが重要ですね。「明日があるさ」の平歌はとてもドキュメンタリーチックなんです。よく例に出すのが、『ザ・ノンフィクション』のようなドキュメンタリー番組。3人ぐらいのシングルマザーを同時進行で追いかけながら、最後にはシングルマザーって頑張ってて大変だよね、と落ち着く構成は、応援歌、大衆歌に似ているんです。実は作詞クラブにも、1番の歌詞を書くと2番を書けない人がたくさんいるんですよ。もう1番で言いたいことを書いたから2番に何を書いていいのか分からない、と。でも、ドキュメンタリー番組のように違う人物のことを書くとか、前半と後半で分ける、もしくは現代と過去に分けるという風に考えると、歌詞も作りやすいと思います。

リアルサウンド編集部

最終更新:7/2(日) 17:00
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