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<都議選に一言>宇都宮健児さん「“都民ファースト”のなかに困ってる人の声は?」

7/2(日) 14:06配信

週刊女性PRIME

「都政の問題は五輪、豊洲移転だけではありません。子育てや教育、福祉、住宅問題や働き方などさまざまです。これらについては腰が引けているものもある」

 こう語るのは、昨年の都知事選で苦渋の出馬断念をした宇都宮健児さんだ。

 小池氏が都知事に就任した当初、豊洲市場への移転をいったんやめて問題点をあぶり出した点や、オリンピック経費のコストカットで都民からの評価も高く、宇都宮さんも小池都政に「75点」の点数をつけていた。しかし、「いま、つけるなら50点」。わずか1年の間に急落した。

 その理由に、都民ファーストの会の煮えきらない態度をあげる。豊洲移転問題について各政党が方針を明確にするなかで、都民ファーストの会は小池都知事からの指示待ち状態。立場を明らかにしていなかった。

「地方自治体は、首長を選ぶと同時に議員も選ぶ二元代表制。議会と知事が相互にチェックし合うものです。なのに、なかなか方針を打ち出さず、都民に判断材料を与えてこなかった。これは政党としてどうなのか?」

 豊洲移転を延期したことで盛り土や地下水汚染の問題を明らかにした点はよかった。だが、落としどころがあやふやなせいで、都民からの評価も厳しいものになりつつあると指摘。

 同じ構造は、オリンピック問題でも見られる。

「カヌー・ボート、水泳、バレーボールの3会場建設を見直し、無駄な経費を削ったはいいが、残りの会場について十分な検討がされたのかは見えづらい」

 地方自治体は住民の暮らしや福祉を守り、充実させることが使命で役割、と宇都宮さんは考える。そのため、小池都政が掲げる「都民ファースト」の発想、方向性については「正しいと思う」と一定の評価とする。

「これまでの石原・猪瀬・舛添都政は、首都外交をやって、東京を世界一の都市にするという方針。そこに住む人々の暮らしは抜け落ちていた。それに比べれば、小池都政は都民目線に重点を置いています」

 問題は、理念が政策に反映されているかどうか。

「都民ファーストのなかに本当に困っている人や、在日外国人や障がい者など、社会的少数者の声が入っているのか疑問な点がある」

 6人に1人が「貧困層」という日本で「本当に困っている人」の増加は顕著だ。格差の拡大も著しい。その背景には脆弱な社会保障、非正規労働者の増加といった要因がある、と宇都宮さん。もちろん、東京も例外ではない。

「小池都政には、こうした人たちへの社会保障と労働政策があまり打ち出されていません」

 非正規労働者は正社員より賃金が低く、雇用も不安定だ。

「働く貧困層の問題は非常に重要。都は13兆円もの予算を持ち、大量の公共事業を発注しているのだから、まずは『公契約条例』を定めるべきです」

 公契約条例とは、国や地方自治体から公共事業を受託する事業者に対し、一定水準以上の賃金や男女平等の賃金などを条例で保障させる制度。都でも、すでに世田谷区や渋谷区などが導入している。

「例えば、時給1500円を労働者に払っている企業でないと受注できないという条例を作れば、賃金は自然に底上げされていきます。

 加えて、最低賃金そのものも引き上げる。都の最低賃金は現在、時給932円。これでは、1か月働いても生活保護水準と変わらない。ちなみに欧米では、時給1000円~1500円ぐらいが平均です」

 さらに住宅政策の強化も提案する。

「石原・猪瀬・舛添都政の17年間で都営住宅を1戸も作っていません。そのため申し込み倍率が高く、だいたい30倍を超えています。対策としては、都営住宅の新設はもちろん、家賃補助制度を設ける手もある。ワーキング・プアでも家賃補助があれば生活でき、普通のアパートに住めるようになります。都内には空き家が多いですから大家さんも助かるはずです」

 都民ファーストから漏れている都民がいないか、注視する必要がありそうだ。

取材・文/千羽ひとみ…フリーライター。ドキュメントから実用まで幅広いジャンルを手がける。著書に『ダイバーシティとマーケティング』(共著・宣伝会議)

 

最終更新:7/2(日) 14:06
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