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【川崎】小林悠の進化――オフ・ザ・ボールの達人がオン・ザ・ボールに目覚めた!

7/2(日) 12:38配信

SOCCER DIGEST Web

「もっとドリブルに自信を持ってやれれば良いのかなと」

 0-2で完敗を喫した15節・横浜F・マリノス戦の後、小林悠の意識に変化が起きた。
「相手の嫌なところでムリにでも前を向いたりしないと、ああいう守ってくるチーム(の守備)は剥がせない」

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 横浜の堅守の前にほとんど攻撃面で良さを出せなかったその試合では、チーム全体が連動性に欠けており、無難に、安全なところへパスを通すことばかりを考えていたと、小林は振り返る。だからこそ、多少強引にでもゴールに向かうことや、ゴールへ向かって圧力をかけていく必要性を強く感じ取っていた。
 
 そのなかでひとつ、個人として新たに取り組んでいたのが“ドリブル”である。
 
 イメージは徐々に変わってきていると思うが、“小林悠”と言えば“オフ・ザ・ボール”という印象はまだ強いだろうし、実際に彼自身もそれは強みにしているところではある。
 
「フリーランニングというのは、ある程度できるようになりましたし、怖さは出せます」
 だが、武器は多いに越したことはない。複数の武器を持てばさらに怖さも増す。そして何より、冒頭に記したような堅守の相手に対しての打開策というところでも引き出しが増える。そういう意味で、いわゆる“オン”の時に、自身がボールを持っている時のプレーでも怖さを出す、という部分に小林は意識を向けた。
 
「もっと、どっち(オンもオフ)もできたほうが相手も捕まえづらいと思う。足もとで受けた時にターンとか、そういうのはだいぶできるようになったんですけど、そこから当てて動いてというのしかなかったので、もっとドリブルに自信を持ってやれれば良いのかなと思うんですけどね」
 

神戸戦ではドリブルでゴールへ向かっていく姿勢が脅威に。

 そして、1試合未消化ながら17節という折り返し地点の試合で、小林はその進化の過程を見せつけた。神戸・ネルシーニョ監督をして「何もできなかった」と言わしめたこの試合、5得点すべてに絡んだ阿部のプレーももちろん、6試合ぶりのゴールを含む2得点を記録した小林も特筆すべき存在感を出していた。
 
 得意のオフ・ザ・ボールの動きで相手を外し、ワンタッチで決めた2得点があれば、GKと1対1になりながら自らのシュートを選択せず、横の阿部に折り返す先制点の完璧なお膳立てもあり。2点目のカウンターも、ボールを落ち着かせて左サイドを走る中村へ出した彼のパスで決まった感もある。
 
 そして、件のドリブルだが、後半に入ると迷いなくゴールへ向かっていく姿勢が何度も見られた。得点には結実しなかったものの、その姿には得も言われぬ恐さがあり、そのまま神戸守備陣の脅威となっていた。
 
 チャンスメイクも、自ら決めることも、運ぶことも。ゴールを仕留めるために幅広く武器を持ちつつある小林は、相手に恐怖を与えられるストライカーへと進化を続けている。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)
 

最終更新:7/2(日) 12:38
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