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砂糖と“アレ”が組み合わさったら、ドラッグとなる! だが単独では……

7/2(日) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 ここ数年、「砂糖中毒」という言葉をよく聞くようになりました。タバコ中毒やアルコール中毒のように、砂糖に対して極度の依存を起こした状態のことです。

 糖質制限ダイエットの世界では昔から有名な説で、なかには「砂糖にはコカイン並みの依存性がある」といった主張をする医師も存在。糖質には脳をダイレクトに刺激する作用があり、ドラッグと同じような快感をもたらすというのです。

 その結果、多くの人は砂糖や炭水化物なしではいられなくなり、肥満、疲労、イライラ、不安といったあらゆる不調の原因になるんだとか。事実なら、まことに恐ろしい話です。

 しかし、どうにも怪しい印象がぬぐえません。本当に砂糖がコカイン並みの快楽をもたらすなら、角砂糖への依存が社会問題になり、すでに法律で規制されていてもおかしくないようにも思えます。果たして、「砂糖=ドラッグ」説は事実なのでしょうか?

 そもそも、砂糖の中毒性が騒がれるようになったのは、2008年のマウス実験がきっかけになっています(1)。プリンストン大学の研究チームが、マウスへ砂糖をあたえ続けたところ、脳に大量の快楽物質(オピオイドとドーパミン)が分泌されたうえに、実験後には重度の禁断症状まで確認されたのです。このデータだけを見れば、確かに砂糖はドラッグと同じように思えるでしょう。

 ただし、これはあくまで動物実験の話。実は、ヒトを対象にした研究では、砂糖の依存性はまったく認められていません。

 現時点で最新のデータは、2017年にマーストリヒト大学が発表した論文です(2)。このなかで、研究チームは健康な男女1,495人を対象に食品の依存度を調べ、全員のBMIとの関連を調べました。

 そこでわかったのは、以下のような事実です。

・95%の人は何らかの食品に依存した経験を持っていた

・砂糖だけの食品に依存を起こすケースはほとんどなかった

 誰にでも食品への依存は起こりえるものの、砂糖中毒にかかった人はほぼゼロだったようです。

◆中毒を引き起こすのは、砂糖と“アレ”の組み合わせ

 それでは、依存を起こしやすい食品とはどのようなものでしょうか? 研究チームは次のようにコメントしています。

「もっとも依存のような行動が確認されたのは、砂糖と脂肪が組み合わさった食品だ。基本的に太りぎみの人ほど『砂糖+脂肪』の消費量が大きく、おもに砂糖だけをふくむ食品は肥満との相関がなかった。

 砂糖が多い食品は依存性が低く、肥満のリスクにもなりにくい。過去のデータと照らし合わせてみても、食べ過ぎの原因はカロリー密度と個人の環境によるところが大きいだろう」

 あくまで砂糖に依存を起こすようなパワーはなく、ケーキやアイスクリームのように大量の糖分と脂肪が組み合わさったときに、はじめて食べ過ぎが起きるというわけです。

 もうひとつ、2016年の研究も見てみましょう(3)。

 これはケンブリッジ大学によるレビュー論文で、過去に行われた砂糖中毒に関する127件の実験データをまとめたもの。「砂糖中毒」について考えるうえでは、現時点でもっとも信頼性が高い内容になっています。

 研究チームの結論は、以下のとおりです。

「ヒトが砂糖に依存を起こすという証拠は存在しなかった。動物実験のデータでは、確かに砂糖中毒のような行動はみられるが、それはあくまで断続的に砂糖へアクセスできる環境があったときだけだ。

 砂糖中毒に近い行動は、報酬が多い食品が断続的に手に入る環境によって引き起こされる。決して、砂糖に神経科学的な作用があるわけではない」

 簡単に言いかえると、砂糖で脳がおかしくなるような事実は存在せず、たんに「お菓子屋さんが近所にある」や「戸棚にケーキが置いてある」といった誘惑の大きい環境によって、あたかも依存のような行動が起きるというわけです。実に常識的な結論と言えるでしょう。

 まさに大山鳴動してネズミ一匹。どうやら「砂糖=ドラッグ」説は、動物実験の不確かなデータをもとにした空騒ぎだったようです。

 もちろん砂糖の摂りすぎは厳禁ですが、もっとも大事なのは総カロリーとのバランス。無闇に怖がる必要はまったくありません。

1.Avena NM, et al. “Evidence for sugar addiction: behavioral and neurochemical effects of intermittent, excessive sugar intake.”(2008)

2.Markus CR, et al. “Eating dependence and weight gain; no human evidence for a ‘sugar-addiction’ model of overweight.”(2017)

3.Westwater ML, et al. “Sugar addiction: the state of the science.”(2016)

<文/Yu Suzuki>

【Yu Suzuki】

月間100万PVのアンチエイジングブログ「パレオな男」管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASM®公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。11月11日、初の著書『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』(扶桑社)が発売。

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