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「110番」を受ける警察官の知られざる憂鬱

7/2(日) 8:00配信

東洋経済オンライン

 交通事故を目撃した。路上で殴り合いのけんかをしているところを見かけた。酔っ払いが道ばたで寝ている――。日常でこんなシーンに遭遇したら、どんな行動を取るだろうか。

■110番業務の現状

 「警察に通報する」という人は少なくないだろう。そのときにコールするのが「110」。いわゆる110番(ひゃくとうばん)である。これが当事者である警察官の立場から見るとどんな光景なのだろうか。110番業務の現状を明かそう。

 110番通報は、おおむね、
(1)殺人、強盗、傷害、窃盗などの刑法犯に関するもの
(2)ひき逃げ、当て逃げ、人身、物件事故や駐車違反などの交通関係
(3)軽犯罪法、覚せい剤、などの特別法に関するもの
(4)病人、迷子、家出人、酔っ払いなどの傷病人などに関するもの
(5)自然災害、火災などの災害に関するもの
(6)異常発報、非常通報、犯罪情報などの情報に関するもの
(7)騒音、悪臭、暴走族など要望、苦情に関するもの

(8)地理案内、遺失届、拾得届などの各種照会に関するもの
(9)いたずらや虚報などの無関係なもの

 に分けられる。110番勤務は、警察業務の中でも特殊な勤務であり、警察本部内の「地域部・通信指令課」が正式名称。本部勤務ということで、地域警察官にとっては栄転になるものの、実はそうでもない。個々のストレスは計り知れない。


 県警に28年勤めていた私が知るだけでも、110番業務のストレスから勤務ができなくなり否応なしに異動せざるをえなくなったり、病気で休暇を余儀なくされたり、退職に追い込まれたりしたケースはごまんとある。

 現在も状況はさほど変わっていないようだ。私の知るかぎり、変わったことといえば、非常勤職員と呼ばれるアルバイトがいなくなったことくらいである。あとは変わらず過酷な労働条件の中での勤務を余儀なくされていると聞く。

■ほとんどが苦情やクレーム

 同じ警察官からは「楽な部署でいいよな」とよく言われるようだが、当人からは「いつでも代わってやるよ」という気持ちが正直なところ。見た目と現実がこんなに違う部署はない。

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