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女の機嫌を損ねる男の困惑を救え!

7/2(日) 11:30配信

Book Bang

『女の機嫌の直し方』――機嫌の取り方ならぬ直し方という言い回しが、女はすでに(常に)機嫌を損ねているという恐ろしい病状を突き付け、女性ならぬ女という言い切りが、オブラートに包まない裸の薬の効き目の強さを予感させる。

 このタイトルの印象は、中身を読み進めても深まるばかり。女は共感を求めているのに男は論理が先に立つ、女には身の周りがよく見える一方で男の視野はその先に広がってる、女が蓄積する過去を男は水に流す――身に憶えあり、身につまされの連続だわ。

 著者の黒川伊保子は、人工知能の研究者で、医学・生理学の研究者なら脳のあり方から論を立てるところ、この本のベースは、脳と同じに機能するAIを組み上げようとする中で把握した脳の働き方。話が頭でっかちにならず具体的実践的であるせいか、勧めて読ませてまず感謝されたのは、子供の学校のPTA役員に仕立てられ、会議だ行事だで女の園に投げ込まれて悶絶中の知り合い♂だった。

 タイトルからも、著者が女であることからも、男が被告人席に立って断罪される書という先入観が生まれがちだけれど、実際にはカウンセリング席にもたれて丁寧に教え諭される具合。よく引き合いに出される自身の父や夫、息子を含めた男総体を著者が高く評価していることに救われる。

 この男の教え諭し方、女にとって使えるはずで、目尻の吊り上がったフェミニズムの男叩き本が北風なら、この新書は太陽です。

[レビュアー]林操(コラムニスト)

新潮社 週刊新潮 2017年6月29日号 掲載

新潮社

最終更新:7/2(日) 11:30
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