ここから本文です

世界最古の聖地で頭蓋骨を崇めた証拠見つかる

7/3(月) 7:21配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

トルコのギョベックリ・テペ遺跡、複雑な文化をもっていた?

 世界最古の宗教施設と考えられているトルコ南東部のギョベックリ・テペ遺跡。1万年ほど前、この聖地で人間の頭蓋骨をまつる「頭蓋崇拝」が行われていたらしいことが、最新の研究でわかった。

【写真】出土した頭蓋骨の破片。溝や穴が彫られている

 このほどオンライン科学誌『Science Advances』に発表された研究によると、ギョベックリ・テペ遺跡で発見された3つの頭蓋骨の破片に、死後に加工された痕跡が見つかったという。

 論文の筆頭著者でドイツ考古学研究所の人類学者ジュリア・グレスキー氏は、頭蓋骨には直線状の深い溝がくっきりと彫り込まれていて、このような加工は、ほかでは見たことがないと言う。特殊な顕微鏡を使って詳しく分析したところ、この溝は火打石で意図的に刻まれたものであることが明らかになった。破片の1つには穴もあけられていて、インドのナガ族が頭蓋骨を紐で吊るすためにあけた穴とよく似ていた。

 加工の痕跡があるのは1万年~7000年前の少数の破片だけだが、考古学者たちは、当時この地域で広く見られた「頭蓋崇拝」がここでも行われていたことを示す、非常に重要な発見だと考えている。

頭蓋崇拝

 グレスキー氏は、「頭蓋崇拝はアナトリアでは珍しいものではありません」と言う。この地域のほかの考古学的遺跡では、死者を埋葬した後に遺体を掘り出して頭蓋骨を外し、独創的なやり方で陳列していたという。新石器時代には、頭蓋骨をしっくいで肉付けして死者の顔を再現したものも作られていた。

 ギョベックリ・テペ遺跡は、この地域に住んでいた新石器時代の人々にとって特別な意味がある場所だった。グレスキー氏は、「ここは居住地ではなく、主として記念碑的な場所でした」と説明する。

 どこからでも目につく、眺めの良い丘の上に巨大なT字型の石柱が並んだこの遺跡は、この地域に住んでいた狩猟採集民が複雑な文化を持ち、儀式を行っていたことを示している。

友か敵か

 米コーネル大学の生物考古学者マシュー・ヴェラスコ氏は、今回の研究には関与していないが、「この年代に、この地域で、こうした興味深い加工が施された頭蓋骨が発見されたことはありません」と言う。しかし、今回の発見により、頭蓋骨が誰のもので、なぜこのような加工をされたのかという新たな問題が生じた。

「頭蓋骨を加工する行為には、祖先の崇拝から敵に対する侮辱まで、さまざまな意味があります」とヴェラスコ氏。どのような意味があったのかを知るには、ギョベックリ・テペ遺跡でさらなる発見がなければならない。

 溝や穴のほかにも、この遺跡の頭蓋骨には文化的に特別な意味があったことを示す証拠があると、グレスキー氏は言う。「石柱に描かれた頭部のない人物や人間の頭部をかたどった石像など、この遺跡からの出土品は図像学的に頭蓋骨を強調しているのです」

 ギョベックリ・テペ遺跡には埋葬地がなく、人間の骨は動物の骨や火打石などと一緒にされていたため、この遺跡について理解するにはもっと多くのことを明らかにする必要がある。グレスキー氏は、「この遺跡の人類学的な解明は、始まったばかりです」と言う。「より多くの骨格や頭蓋骨の破片が見つかれば、彼らの生活がもっとよく見えてくるでしょう」

文=Shaena Montanari/訳=三枝小夜子

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ナショナル ジオグラフィック日本版の前後の記事