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団結力で戦う「日本流スクラム」は2019年W杯で世界に通用するか

7/3(月) 11:44配信

webスポルティーバ

 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会に向け、2016年の秋から日本代表のスクラムコーチに任命されたのが長谷川慎である。

【写真】この選手の代表引退はもったいない

 スクラムは攻防の起点を意味するセットプレーの一種で、体をぶつけ合うフォワードの選手が8対8で組み、押し合う。そこへ攻撃側のスクラムハーフがボールを転がし、互いにプレッシャーをかけ合いながら確保し、後ろへつなぐ。

 ラグビーというスポーツではボールを前に投げることができず、ボールより前でプレーすることも許されない。そのためスクラムを押せば押すほど、後ろの選手は前のめりとなって戦えるため、攻撃に勢いがつき、得点のチャンスも生まれやすくなる。

 逆に数センチでも押されれば、後ろの選手は圧力を受けたままパスをもらうため、ゲインラインを突破するのも難しくなる。

 そんな日本代表の命綱的な領域を託されたのが、45歳の長谷川だった。サントリーでの現役時代に”スクラム番長”の異名を取り、日本代表の左プロップとしても活躍した。現役引退後はコーチに転じ、2011年から6シーズンはヤマハを強化。2014年度の日本選手権優勝を陰から支えた。

 2017年2月には、国際リーグであるスーパーラグビーに日本から参戦しているサンウルブズのコーチにも就任。ヤマハ時代に築き上げた”独自のスクラムシステム”を代表予備軍に落とし込んだ。

 このスクラムの特徴は、相手と組み合う前から各選手の役割が決まっていることだ。まずフロントローと呼ばれる左右のプロップ(それぞれ1番、3番)と中央のフッカー(2番)の3人が、互いに脇の下から腰までを密着させ、両肩の肩甲骨を前にせり出し、背筋を伸ばしたまま前傾姿勢をとる。それぞれの力を結集させ、相手に真っすぐ伝えるためだ。

 セカンドローと呼ばれるふたりのロック(4番、5番)は、フロントローのお尻とお尻の間に頭を入れ、地面にヒザをつけたまま背筋を伸ばし、力を加える。また、スクラムの側面に入るフランカー(6番、7番)は、フロントロー同士の間隔が広がるのを防ぐべく、斜め前方へパワーを与えていく。そしてふたりのロックの間に入るナンバーエイト(8番)は、ロックと同じような体勢で押し込んでいく。

 足の裏が地面から離れる時間を最小限にとどめながら、全員で呼吸を合わせて足を前に掻く。個々のパワーを前面に押し出す列強国に対し、低い姿勢で一致団結する日本人の強みで対抗する。長谷川の見立てはこうだ。

「1対1では海外の選手の方が強いかもしれない。ただ、日本の選手は”(コーチの提示した形に)はまる技術”がすごい。8人のなかで自分がどう組むのかを理解しながらやっている」

 サンウルブズは、大男が揃う南アフリカカンファレンスに加わりながら、第5節までスクラムでの自軍ボール獲得率100%を保持。長谷川の妥協なき指導で、日本人のみならず海外出身の選手も”はまる技術”を貪欲に習得していった。

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