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親の介護、どうすれば「介護離職」を避けられるか

7/3(月) 9:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 40代、50代の働き盛りの人が、自分または配偶者の親の介護のために、これまで続けてきた仕事を辞めるケースがみられます。これは、本人にとっても社会にとっても、大きな損失になりかねません。企業によっては、介護休暇など制度が充実しているところもありますが、対策はまだまだ不十分です。自分が置かれている状態を確認しつつ、介護が必要になったときの対応を準備しましょう。

◆介護離職のリスクが高い人

 どのような立場の人が介護に直面したときに、介護のリスクが高くなり、場合によっては離職にまで追い込まれることが多いかを考えてみます。

 介護離職のリスクが高い人は、(1)すでに家族に要介護者を抱えている、(2)重い認知症など介護度の高い家族がいる、(3)本人が家族の介護の主たる担い手になっている、(4)兄弟姉妹や身近な親族が近くに住んでいない、(5)勤務時間が長時間あるいは不規則である、(6)転勤などを含め異動の多い職場に勤務している、などの条件です。

 こうした条件を複数抱えている人ほど、介護に関しては非常な困難な環境にあり、いつ離職の危機を迎えてもおかしくありません。こうした条件を少なくすることが出来ればいいのですが、要介護者が出た場合の準備はしておく必要があります。

◆介護離職のリスクが低い人

 では反対に、介護リスクが少ない人の条件は、どうでしょうか。リスクの高い人の反対になれば、それだけ介護リスクは少なくなります。

 具体的には、(1)要介護者の配偶者が健在である、(2)自分の配偶者も健在である、(3)近くに支援してもらえる親族が複数いる、(4)本人の年収が高く介護費用が負担できる、(5)在宅勤務・フレックスタイムが利用できる、といった条件です。

 こうした要素が多ければ、いざ介護というときでも負担をかなり分散化でき、介護離職に追い込まれることは少ないと思います。介護リスクが少ない人であっても、介護は「終わりが見えない」といわれるため、長期的な準備と計画が必要になります。そのための準備はしておきましょう。

◆介護に直面した際の対応策

 親など家族の介護が必要になった際に、どのような手順で対応したらよいでしょうか。そのための手順は、およそ以下の流れになります。(1)介護の相談窓口へ行き介護認定を依頼する、(2)担当のケアマネジャーと相談し介護プランを作成する、(3)利用可能な介護サービスを選択する、(4)会社の介護休業制度を確認する、(5)在宅介護以外も選択肢に考える、になります。これらを具体的に説明します。

<相談窓口で介護認定を申請>

 市区町村には「地域包括支援センター」などの名称で、介護に関する専門の相談窓口があります。そこで出向き、介護認定の申請をします。この申請を行うと専門の職員が自宅を来訪し介護認定がされます。

介護認定は現在では7段階に分かれており、その人の症状を見て、最も軽い「要支援1」から、最も重い「要介護5」までの認定がなされます。認定された介護度により、その人が受けられるサービスの内容が決まります。介護度が高くなるほどほど、手厚いサービスが受けられます。

<ケアマネジャーと介護プラン作成>

 介護度に応じて、具体的なプランを担当するケアマネジャーと作成します。ケアマネジャーは、介護プランを作成する介護の専門家で、介護を受ける人の実情に即したプランを作成してくれます。

 とくに、仕事との両立のためにどうしたらよいのかを念頭に、プランの作成を依頼します。担当のケアマネジャーとの信頼関係を築き、介護を受ける人に適した生きた介護プランを作成してもらい、それに沿った介護を進めます。

<利用できる介護サービスを実行>

 介護サービスは何種類かメニューがあります。その中から必要なメニューを選び、介護士や看護師に自宅に来訪してもらいます。どの程度のサービスが受けられるかは、介護度によっても変わってきます。介護を受ける人が拒絶反応を示さないように注意が必要です。

 介護サービスを利用しながら、その間、家族が介護から解放される時間をつくります。介護サービスを受けることで、介護する人の自由な時間がどのくらい確保できるか、が、介護離職を避けるポイントにもなります。受けられるサービスだけでは不十分な場合、自己負担をしてでも、追加のサービスを受けるかも検討します。

<会社の介護休暇を確認>

 介護休暇の日数は法律で決まっていますが、企業によっては、それ以上の期間を認めているケースもあります。自分の会社の介護休暇制度の実態を確認し、可能なものは積極的に利用しましょう。

 企業にとっても介護離職は人材の損失となり、できるだけ避けたいと考えるようになりました。最近では、介護時間を確保するための時短制度の創設や、介護休暇の増加に取り組んでいる企業も増えています。介護の負担が大きいようでしたら、勤務体系の変更や職場の異動も申請しましょう。

<在宅介護がすべてではない>

 在宅介護は介護度が高まるほど大変になります。介護される立場の人の中には、在宅介護を望み、施設介護には拒否反応を示す人も多いようです。また家族の中にも、施設に入所させるのは「可哀そうだから」といって、在宅介護を選ぶ人もいます。

 しかしながら、介護度が高まれば高まるほど、在宅介護は難しくなります。介護離職を防ぐためにも施設入所は有効な方法です。経費の安い公営の「特別養護老人ホーム」(特養)への入居が望ましいのですが、介護度の基準をクリアしたうえで順番待ちとなり、入居条件が非常に厳しいのが現実です。

 その場合、短期の入所を前提とした「老人健康保健施設」(老健)への入所など、他の施設への入居も検討すべきです。最近増えてきた民間の「有料老人ホーム」でも、地域などを選べば比較的安く入居でます。介護離職を避ける意味でも検討してもいいでしょう。

 こうした流れを確認したうえで、自分の親の介護が必要になった際には、必要な準備を進めたいものです。

<文/黒木 達也>

くろき たつや●経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

<記事提供:ファイナンシャルフィールド>

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