ここから本文です

すき家が外食の業界団体に電撃加盟した理由

7/3(月) 6:00配信

東洋経済オンライン

 外食の一匹狼がついに群れに加わった。

 牛丼チェーン「すき家」やファミリーレストラン「ココス」など多様な業態を傘下に持つゼンショーホールディングス(HD)が4月、外食の業界団体・日本フードサービス協会(ジェフ)に加盟していたことが東洋経済の取材で明らかになった。

この記事の写真を見る

 ゼンショーは主力のすき家の出店拡大やM&Aで成長。2016年度は売上高5540億円と外食最大手に位置している。

■独自路線で成長してきた

 それでもジェフに加盟しなかったのは「自社の成長に集中したかった」(同社)ため。同業他社と歩調を合わせるのではなく、独自の成長戦略を優先した。「(加盟する)吉野家HDとの輸入牛肉をめぐる見解の相違から加盟を避けていた」(業界関係者)との見方もある。

 今回のジェフ加盟についてゼンショーは、「業界首位の企業が入っていないのはどうなのかという外部の声が強かった」と説明する。ただ、連結売上高で日本マクドナルドHDを抜いて首位に立ったのは2010年度のこと。もっと早くに加盟していてもおかしくはなかった。

 このタイミングで加盟を決めたのはなぜか。一つには内部体制固めにメドのついたことがあるだろう。


 2014年以降、すき家で深夜の1人勤務体制(ワンオペ)や長時間労働が問題となり、休業を余儀なくされる店舗が出た。ゼンショーは時間管理の厳格化や深夜帯の複数人勤務体制を開始。2014年度こそ最終赤字に陥ったものの、深夜営業の再開が進んで軌道に乗り、2016年度は10期ぶりに最高純益を更新するまでに回復した。

 ジェフ加盟は人手不足への対応もきっかけになっている。厚生労働省の労働経済動向調査によれば、産業別労働者過不足を判断するD.I.(指標)は「宿泊業、飲食サービス業」が大幅に不足超過となっている。

■政界への発言力に期待

 ゼンショーは今期、すき家や回転ずしを中心に店舗を214店増やす。これは前期(85店)の倍以上の数だ。出店を要とした成長戦略を実現するには、人手の確保が何より重要になる。ジェフは発足から43年を数え、「政界に強いパイプを持つ理事もいる」(業界関係者)。人手不足の解消に向けた政策提言などが期待できる。

 同業他社からは「小川さん(小川賢太郎会長兼社長)は業界内に知り合いがあまりいない。将来を考えて横のつながりを持ちたいのでは」との声も聞かれる。

 来年70歳を迎える小川会長は6月29日の株主総会で、息子の小川一政常務について「業界トップとしての社会的責任があるので、外部と積極的にコミュニケーションをとってほしい」と述べた。後継者と明言してはいないものの、社長交代へ向けて「群れないスタンス」に変化が生じた可能性もある。

 「ゼンショーは規模も大きいし、小川さんは発言力もある」と会員企業は期待する。最大手としてゼンショーの役割は大きい。

常盤 有未