ここから本文です

スマートスピーカーとスフィロ社「スパイダーマン」が拓く未来 - 大谷和利 魅惑するプロダクツ

7/3(月) 18:30配信

ニューズウィーク日本版

<Amazon Echoが先行するスマートスピーカー市場に、グーグルなどもこの流れに追従し、かつてのスマートフォンの黎明期のような活況を呈しそうな勢いだ。さらに、トイメーカーが、キャラクター性を持たせた製品を発売してきた>

外国からの観光客が日本に来て驚くことの1つに、色々なものが話しかけてくるということがある。たとえば、自動販売機や信号機、風呂、炊飯器、果てはトイレまでが、現状を告げてくるわけだ。

しかし、そんな驚きも、少なくとも英語圏、特にアメリカ人にとっては過去のものとなりつつある。それは、スマートスピーカーと呼ばれる、小型スピーカー型のAI(人工知能)応答システムが、大ヒットを記録しているからだ。

先に挙げた機器のおしゃべりが一方通行で、決まった文言しか再生できない単純なものであるのに対し、スマートスピーカーはユーザーの問いかけに対して、天気から株価、交通情報などまでを答えてくれたり、照明や家電製品のコントロールを声のみで行える。

アマゾンEchoとGoogle Home

現在、市場の約7割を占めるアマゾンのEchoという製品は、2014年の試験販売に続いて、2015年から一般販売が始まり、2016年のクリスマスには品切れになるほどの人気商品となった。

すでにスマートフォンの検索機能などでAIベースの応答システムを実用化していたグーグルもこの流れに追従して、Google Homeという製品を発売している。さらに、マイクロソフトやアップル、ラインなども、それぞれInvoke(発売元はオーディオメーカーのハーマン・カードン)、HomePod、Waveという製品によって、年内にはスマートスピーカー市場に参入することを発表しており、かつてのスマートフォンの黎明期のような活況を呈しそうな勢いだ。

先行しているアマゾンは、すでにカメラ機能やタッチスクリーンを搭載する上位モデルも発売しているが、他社を含めて基本的にはディスプレイなどは内蔵せず、あくまでも音声のみで情報のやりとりを行うところに特徴がある。

一見、画面がないと不自由に思えるかもしれないが、実はその点がこのカテゴリーの製品の最大の特徴であり、メリットなのだ。というのは、AIベースの応答システムは、すでにアップルのSiriやグーグルのGoogle Assistantによって消費者にとって馴染みのある存在となってはいるものの、実際にはスマートフォンに向かって話しかけることに気恥ずかしさを覚えたり、同じ操作や処理を普段から慣れている文字入力やボタン操作によって行なってしまうユーザーも多い。そのため、期待されたほど活用されていない傾向が見られる。




ところが、最初から音声インターフェースしかなければ、人々は積極的にそれを使うようになることをアマゾンのEchoが証明した。1つには、同製品がアマゾンのオンラインショップと直結していて、声で注文ができるという点も興味をひいたものと考えられるが、購入後は製品の注文よりも、日常的な情報の取得や声による音楽再生などに使われる割合のほうが多いとの調査結果もある。



また、声さえ届けば離れていてもハンズフリーで使える点も、自宅のリビングやキッチンなどで利用する際には便利な点となっている。

一方で、具体的な処理は特定のキーワード(Echoでは、AIシステムの名前である"Alexa"や"Amazon"、Google Homeでは"OK Google"という呼びかけ)が発せられた時から始まるが、常にユーザーの声をモニターしていることからプライバシーに関する懸念が生じてもいた。この点に関して、現在では両システム共に常時オンにするかをユーザーが決められたり、アップルのHomePodでは同社自体も通信内容を解析できない仕組みであることを明確に打ち出すなど、程度の差はあるものの、安心して使えることを謳うようになっている。

【参考記事】LINE、GoogleのクラウドAI戦略を比較してみた

スフィロ社のSpider-Man

そんな中、トイメーカーもスマートスピーカー的な機能にキャラクター性を持たせた製品を発売してきており、前回紹介したLightning MaQueenと同じスフィロ社によるSpider-Manは、その最先端に位置している。ユーザーは彼の相棒となって音声のやりとりで悪人と戦うストーリー展開を楽しんだり、スパイダーマンらしいジョークを聞いたり、センサー機能による部屋の監視(あくまでもオモチャとしてだが、侵入者があると警告を発して、そのことを記録)を頼んだりできるのだ。その中身は、完全に1つのコンピュータシステムであり、近い将来に、こうした機能性が拡張していけば、子どもたちの日常的なパートナーやアシスタントになることも十分に想定できる。

現時点で日本国内で正規販売されているのは意外にもSpider-Manのみ(ただし、応答はすべて英語)だが、年内にはEchoとGoogle Homeの日本語版や、元から日本語対応のWaveが国内で販売開始され、来年以降にHomePodの日本語化も行われるものと思われる。

AIベースの音声応答は、特別な操作方法を覚える必要がなく高齢者にも使いやすいため、情報弱者の低減にも大きく貢献していくことだろう。

大谷和利

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ニューズウィーク日本版

CCCメディアハウス

2017-8・29号
8/22発売

460円(税込)

他の日本のメディアにはない深い追求、
グローバルな視点。
「知とライフスタイル」のナビゲート雑誌。