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朝日『声』欄に共感続々、高齢者の「預金を下ろす自由」はどこに?

7/4(火) 15:00配信

マネーポストWEB

〈高齢者は自由に金を使えない?〉──こんな見出しの投書が朝日新聞『声』欄(6月25日付)に掲載され、波紋を広げている。75歳女性が預金を下ろしに行ったところ、銀行員に使途を根掘り葉掘り聞かれたうえ、警察官を呼ばれた。そのお金で購入する予定の納骨壇がある寺や、遠方に住む娘に電話をかけて事実関係を確認され、現金を手にするまで1時間半もかかった──という内容だ。

“高齢者迫害”にさえ思える対応はなぜ起きたのか。それは振り込め詐欺が増え続けていることが原因で、全国各地で高齢者を対象に振り込め詐欺防止対策が進められている。

 滋賀県内の7つの金融機関では、2015年から70歳以上の高齢者が200万円を超える現金を窓口で引き出す場合、小切手を受け取るよう勧める取り組みを始めた。他の店で小切手のまま使うか、換金する必要があり、手間がかかる。

 全国銀行協会広報室は「各金融機関は、警察庁から高額の取引をしている高齢者に対して積極的に声がけするように要請されている。年齢や引出額に全国統一の基準はなく、各都道府県の金融機関が警察と決めている」と説明。

 三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは、いずれも「年齢などの基準は公表していないが、高額現金の取引については問診させていただく場合がある」と回答した。だが、これらの“高齢者対策”には「どうして自分のお金なのにすぐ引き出せないのか」「私は詐欺に騙されるような人間ではない」などといった反発も上がっている。

「国や銀行が行なっていることは表面的な“おせっかい”でしかない」と話すのは、僧侶で作家の向谷匡史氏だ。

「根掘り葉掘り聞くというのは、『振り込め詐欺対策をちゃんとやっていますよ』という印象付けでしかない。しかも、まとまった現金を下ろすのは経済的に余裕のある人が多い。国や金融機関は、本来お金がなくて苦しんでいる人の世話を焼くべきです」

 加えて「詐欺被害を防ぐ」という理屈も金融機関の“建前”である可能性が高い。

「金融機関は詐欺などの事件が起こり、捜査に巻き込まれたくないという意味合いが強いと思います。何も対策を講じてなかったといった社会的責任を問われたくないだけでしょう」(経済評論家・森永卓郎氏)

 いかにも「利用者のため」を装っているのが腹立たしい。

※週刊ポスト2017年7月14日号

最終更新:7/4(火) 16:44
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