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名打撃コーチが言う。「広島と阪神のバッターには決定的な差がある」

7/4(火) 8:00配信

webスポルティーバ

名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第3回

《現在、セ・リーグは昨年の覇者・広島が快調に首位を走っている。その広島を7.5ゲーム差で追っているのが、金本知憲監督率いる阪神だ。この両チームは交流戦明けの最初のカードで対戦。結果は雨天ノーゲームを挟んで、広島が連勝した。このカードを観戦した伊勢孝夫氏は、結果以上に、両チームの間にある決定的な差を指摘した》

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 一昨年までヤクルトのコーチをしていたこともあり、この両チームの対戦をじっくり見るのは久しぶりだった。しかし、すぐに両チームの違い、より正確に言えば“差”を感じた。特に目についたのが、打席における打者の“意識の差”だ。

 たとえば、6月23日のカード初戦。広島打線は徹底した逆方向のバッティングで、阪神先発のランディ・メッセンジャーを打ち崩した。それに対して阪神打線は、広島先発のクリス・ジョンソンに何を仕掛けるわけでもなく、ただ打席に入ってバットを振っているだけに映った。チームとしてどう相手投手を攻略するのか。もちろん、試合前のミーティングはしているのだろうが、打席から攻略の意図がまったく見えてこなかった。

 逆方向という言葉はよく耳にすると思うが、これを意識することで強引なバッティングをしなくなり、ミートの確率も上がる。なにより、ボールをよく見ることにつながる。相手投手を攻略する基本的な攻め方なのだが、実はこれが簡単ではない。

 この試合、特に目立ったのが広島の菊池涼介だ。3回にメッセンジャーから追い込まれながらライトにヒットを放った場面があったが、あの打席、追い込まれるまで外角の真っすぐにピクリとも反応せず、いかにも「内角の変化球を待っています」という雰囲気を漂わせていた。

 ところが、2ボール2ストライクから外角に投じられた勝負球の真っすぐにコツッとバットを合わせ、ライト前に弾き返した。あれは2ストライクまでじっくり自分の打ちたい高さ、コースを待ち、最後に「そら来た」という感じでバットを出した打席だった。

 また、6月25日の試合で岩貞祐太からホームランを放った打席も興味深かった。菊池は内角に攻めてくる球を逆方向にファウルで逃げていたのだが、追い込まれると一転して引っ張り、レフトスタンドに運んだ。

 あれは菊池の名演技とも言えるが、それだけ打席できっちりとボールを見ているということにほかならない。もう“やりたい放題”といった感じだ(笑)。厳しい言い方になるが、阪神バッテリーが菊池の意識に追いつけていない。そんな印象を受けた打席だった。

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