ここから本文です

水蒸気の10倍のエネルギーで発電する「超臨界CO2タービン」技術:米研究者が開発

7/4(火) 12:12配信

WIRED.jp

発電所では、タービンを回すのに水(蒸気)が使われるのが一般的だ。だが水の代わりに二酸化炭素を使うと、30パーセント高い発電効率でエネルギーを生み出せるという論文が発表された。米エネルギー省も期待する「超臨界CO2タービン」の可能性とは?

【複数画像】未来の風力発電機には「羽がない」

二酸化炭素はすごい分子だ。二酸化炭素といえば読者はおそらく、動物が呼気として放出し、植物が吸収する物質であることや、気候変動のいちばんの原因であるとされていることしか知らないだろう。だが、二酸化炭素にはもっと多くの可能性がある。たとえば二酸化炭素によって、電力業界をもう少し環境にやさしいものにできると考えている技術者たちがいるのだ。

そう書くと、二酸化炭素の回収と貯留をひとひねりしたものだと読者は思うだろう。だが、そうではない。熱を電気に変える巨大な装置、タービン発電機のことをいっているのだ。ほとんどの発電所は蒸気タービンを利用している。だが、水を気体(水蒸気)に変えるには大量のエネルギーが必要だ。室温では気体で存在する二酸化炭素なら、そうした問題を避けられる。おまけに、圧縮するのは水と比べてはるかに容易なので、タービンに大量に詰め込むことができる。

『サイエンス』誌に5月26日付けで発表された論文によると、超臨界流体(温度と圧力のバランス上、気体と液体の区別がつかない状態)になった二酸化炭素なら、いまより小型のタービンでもっと多くの電力を生み出せるという。

水を使うのは効率が悪い

米国における電力の3分の2以上は、「ランキンサイクル」と呼ばれる熱サイクルで稼働する蒸気発生器によってつくり出されている。まずは、水をポンプで圧縮してから加熱する。加熱方式は、石炭の燃焼でもいいし、放射性物質の崩壊でもいいし、何千ものミラーで反射させた太陽光でもいい。

加熱によって水を沸騰させ、蒸気を発生させる。そして、さらにどんどん加熱していく。蒸気を限界まで高温にしてからタービンに送り込むと、タービンブレードが回転し、取り付けられた発電器が電力を生み出す。その後、低圧となった水蒸気は復水器に送られ、水になってポンプに戻る。そして、このサイクルが新たに始まる。

ランキンサイクルは、1世紀以上にわたってうまく機能してきたし、最近までは状況を変える理由が何もなかった。発電費用がかなり安く済み、石炭使用の結果(気候変動)が直ちにはわからなかったからだ。だが、ランキンサイクルは効率が悪い。水を使用することがその主な理由である。

「サンショット・イニシアティヴ」(米エネルギー省が太陽光発電システムのコスト削減に向けて2011年に開始した技術開発プロジェクト)のプログラムマネージャーを務めるアヴィ・シュルツは、ランキンサイクルについて次のように語る。「興味深い物理学的事象ですが、氷から水に、あるいは、水から水蒸気に、といった具合に何かの相を変化させるのには、多くのエネルギーを加える必要があります」。つまり、ランキンサイクルを経る蒸気発生器は、水を沸騰させるための多量のエネルギーを無駄にしているわけだ。

1/2ページ

最終更新:7/4(火) 12:12
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.28』

コンデナスト・ジャパン

2017年6月8日発売

630円(税込み)

特集「Making Things ものづくりの未来」。大量生産、大量消費の時代が終わりを迎えるなか、ヒトはいかにものと向き合い、それをつくり、使っていくのか。