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ブロガー議員なら大逆風も生き残る!? アゴラ都議全員当選 --- 新田 哲史

7/4(火) 16:54配信

アゴラ

都議選の結果を巡る総評(http://agora-web.jp/archives/2026971-2.html)はすでに昨晩書いたが、今回注目すべき新しい現象があった。選挙とネットの見識がある仲間たちとの意見交換やSNSでの指摘を踏まえて書くとはいえ、手前味噌の話で恐縮なのだが、アゴラ執筆陣の都議会議員4人全員が当選したのだ。

都民ファーストの会所属のおときた駿くん(北区)、上田令子さん(江戸川区)は言うに及ばず、自民党が大逆風であった中で、川松真一朗さん(墨田区)がわずか103票差の劇的な勝利。また、埋没気味で全滅もささやかれていた維新からも、やながせ裕文さん(大田区)が見事に勝ち残った。

川松さんは、自党の先輩議員と最後の枠を競り合っての勝利だっただけに、非常に複雑な心境であろうが、17,000票台の中の100票差となると、あくまで仮説ながら、この1年近く、ネットでの精力的な発信でコンバージョンした有権者である可能性は十分ありうる数字だ。これは川松さん自身に以前聞いた話だが、アゴラ本体だけでなく、配信先のヤフーニュースに掲載された記事は、割と年配の支持者たちが読んでいて、一度、ある記事についての感想が事務所に数件電話で寄せられたといい、その時の川松さんは「こんな反応は今までなかった」と驚いていた。もちろん、私にとっても嬉しいサプライズだった。

地方議員がブログを書いて、発信力を高めるというスタイルのパイオニアは、言わずもがな、おときた君だ。組織もない野党から政治家生活をスタートしたので、毎日ブログを書くことで、新聞を取らない、つまり折り込みの広報紙を取らない若い世代にリーチする鉱脈を開拓し、やがて、セクハラヤジ問題、昨夏の都知事選など話題の案件が発生した時、一気にフォロワーを増やした。

上田さんも、既存メディアが取り上げない都政の政策を積極的に寄稿してきた。いま話題の公用車の話をいち早く取り上げ、学校の授業中の事故死の詳しい背景を掘り下げるなど、当事者と似たような境遇にある人が関心を持つテーマだ。やながせさんも昨年、舛添前知事を追及した時には、連日の鋭い投稿がテレビ関係者の注目を集め、いまでは都議の出演も珍しくなくなった、朝の民放の情報番組にスタジオ出演するに至った。選挙直前には初めて出版もした(選挙の直接の勝因はゴリゴリの地上戦で自民党地盤の切り崩しだったと聞いているが)。

拙著『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(http://amzn.to/2uEZbjR)でも詳しいことは書いたが、従来の政治家ブログの多く、特に自民党あたりは、「◯◯の新年会にご挨拶してまいりました」的な活動報告が主体的になりがちだ。しかし、この4人の都議たちのブログは、政策内容をきちんとまとめたオピニオン記事を発信し、それも継続的に書いてきたことで差別化している。

これにより、まず、地域を問わず、ネット上のそれぞれの政党の支持層に「この人の政策には定見がある」「この人をフォローしておけば、自分にもわかりやすく都政の問題を教えてくれる」といったファンを作ることができるはずだ。そして選挙区内の日頃のリレーション活動と結びつけていくことで、有権者とのつながりも強化できるだけでなく、街頭演説を聞いたりしないようなライトな関心層もファン化する可能性を広げてきたと思える。

まあ、ここまで書くと、今後アゴラに売り込む議員さんが激増しそうだが(笑)、この4人は特別な存在だ。ただの個人ブログの活動報告レベルに終わらず、記事も、不特定多数が読むネットメディアに掲載できるだけのクオリティーのある「論考」であること(硬軟は問わない)、そして、何よりも継続的に地道に発信し(おときた君は毎日投稿)、ライバルたちよりいち早くネットの可能性を信じてきたからこそ、メンバー入りを依頼した経緯がある。

政策を中心にブログを書き続け、発信力を高めてきた議員が、逆風の選挙であっても当選する--。そんなケースが増えれば、スマホ時代にふさわしい形で政策論議を深め、特に若い議員たちの勉強を促す契機にもつながると思う。昨年の都知事選以降、メディアと政治・選挙の関係性が変容していることを実感するが、今回の都議選は、このような現象が起きた。

なお、当選した4人の都議たちが、これからも小池都政を巡り、それぞれの立場から建設的に議論していくことを期待している。

新田 哲史

最終更新:7/4(火) 16:54
アゴラ

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