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真の姿を隠すノーベル賞受賞者──ボブ・ディラン

7/4(火) 18:50配信

GQ JAPAN

50年以上音楽界で活躍してきたボブ・ディランがミュージシャンとして初めて、ノーベル文学賞を受賞した。「時代の代弁者」「ロックの詩人」などと呼ばれる音楽家だが、はたしてそれは本当の姿なのか? 英国を代表する音楽ジャーナリスト、デヴィッド・へップワースがボブ・ディランの真の姿を浮かび上がらせる。

【 ボブ・ディランの輝かしいこれまでのあゆみを写真で振り返る 】

■ボブ・ディランと呼ばれた男

 ミネソタ州の小さな商家に生まれたロバート・アレン・ジマーマンは、50年以上にわたりボブ・ディランというミュージシャンとして世界に知られる男だ。「時代の代弁者」「ロックの詩人」「プロテスト・シンガーの王様」「60年代の魂」などと形容されるが、こうした常套句はじつは真のディランの姿を覆い隠してしまっている。彼はビートルズやエルビス・プレスリーと同じように崇められてきたが、本来評価されるべき点では過小評価され、そうでないところで過大評価されてきたのだ。

 とくに詩人としての彼は(ノーベル文学賞を受賞したものの)過大評価されている。歌詞を読めばわかるが、彼の言葉の大半は陳腐なものか、古いカントリーソングから借用したものだ。前衛的な思想の持ち主だとも言われるが、実際の彼は、どちらかといえば保守的な気質だし、若いころは軍の学校への進学を望み、60年代よりも50年代に自分を重ね合わせるような男である。そんな彼がヒッピーの快楽主義の代弁者として称えられるのは、本人にとっては厄介なことだったに違いない。

 じつのところディランは、時代の代弁者はおろか、何かの代弁者だったことは一度もない。その証拠に彼は1985年、「アフリカ難民救済」を目的としたチャリティコンサートであるLive Aidで、「集まった寄付金は住宅ローンに苦しむアメリカの農民を救うために使われるべきだ」と、お門違いのことを叫び、観客を失望させた。当時デビューして23年だった彼のキャリアはそこで途絶えたかのように思えた。しかしその後、第2次ロック・ブームが訪れ、その事件から31年が経過した今もなお、ディランは歌い続けている。

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最終更新:7/4(火) 18:50
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