ここから本文です

3連勝より、あえて3位。エアレース室屋義秀がポイント単独トップに

7/4(火) 19:12配信

webスポルティーバ

 せっかく”ハットトリック”に近づいたのにね――。

 レース後の記者会見で、室屋義秀にそんな言葉が掛けられたことからも分かるように、「室屋の3連勝なるか」が、今回のレースにおける大きなテーマとなっていたことは間違いない。

【写真】エアレース、今季14人の超人パイロットたち

 ハンガリーの首都、ブダペストで行なわれたレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第4戦。結論を先に言えば、室屋は3位に終わり、第2、3戦に続く3連勝を逃した。要するに、注目を集めた偉業達成はならなかったわけだ。

 それでも3戦連続の表彰台は、室屋にとって初めて。またひとつ、優勝とは別の形で強さを示した一戦になったと言っていいだろう。

 まず、他のパイロットたちに、「室屋強し」を印象づけたのは、予選のフライトだったのではないだろうか。

 予選の最後に飛んだ室屋は、1本目で1分00秒912を記録し、早くも2位につけた。だが、トップのピート・マクロードとのタイム差は、まだ1秒以上もあった。それほど、マクロードが残したタイム、59秒508は(その時点では)図抜けていた。

「このままならピートがぶっちぎりになってしまう。彼を安心させたまま、終わらせるわけにはいかない」

 そんな想いで臨んだ2本目のフライト。室屋は先をいくマクロードの尾翼に指先で触れるがごとく、0.442秒差まで迫り、この予選でマクロードと2人だけとなる59秒台(59秒950)のタイムを叩き出した。

 予選1本目ですでに十分なタイムを残しながら、2本目でさらにそれを縮めてみせた室屋。誰の目にも、コンスタントにタイムを残せる状態にあるのは明らかだった。

 翌日のラウンド・オブ・14では、室屋はいきなり昨季の世界王者、マティアス・ドルダラーとの対戦を強いられた。ドルダラーが予選でオーバーGを犯し、13位に終わったことで生まれた好カードだったのだが、もはや今の室屋にとって、これまで何度も苦杯をなめさせられてきたドルダラーですら、臆する相手ではなかった。

「あの(59秒台の)タイムを見れば、マティアスは全開で行かざるを得ないし、またオーバーGする可能性は結構あるだろう」

 予選を終えた時点で、室屋はそんなことを話していたが、結果は見立て通りのオーバーG。まさに室屋の思うツボだった。

 先に飛んだドルダラーがオーバーGによるDNF(ゴールせず)に終わったことで、室屋はフィニッシュさえすれば、ラウンド・オブ・8進出が決まる状況となった。しかし、室屋はそれでもなお、さらに自らの強さを誇示するかのように、圧巻のフライトを見せつけた。

 室屋が記録した1分00秒572は、ラウンド・オブ・14全体でもトップとなる圧倒的な好タイム。かつての絶対王者にして、現在はレッドブル・エアレースの解説者を務めるポール・ボノムをして、「無理をしなくても、スムーズに飛べばタイムを出せる状態にある」と言わしめる日本人パイロットは、オーバーGの危険性を排除しても、トップタイムを出せるだけの余裕を残していた。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
4月13日発売

定価 本体1,472円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 平昌への道』
■ヘルシンキの激闘
■宇野昌磨、本田真凜ほか