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「量産とワケが違う」フェアトレード店、関西で奮闘中

7/4(火) 12:33配信

オルタナ

発展途上国からの原材料・製品輸入において、現地の労働環境や貧困問題の改善とビジネスを両立させる「フェアトレード」関連製品が日本でも増えてきた。今回は関西にあるフェアトレードショップを、フリージャーナリストの神野武美氏(元朝日新聞記者)に紹介してもらった。

■大阪・梅田の百貨店に出店、4年以上続く

大阪・梅田の阪急うめだ本店10階のフェアトレードショップ「Love&sense」には、タイ産のホテイアオイ(水草)製かごバッグ、ブラジル産プルタブバッグ、コロンビア産タグアのアクセサリーなど珍しい商品が並ぶ。

それぞれに、「耐久性に優れ、村の年配層が職の機会を得る」「首都ブラジリア郊外の貧困地域の女性が作り、ニューヨークでも人気」「熱帯雨林の象牙椰子の種子から作られ、象牙に代わるエコ素材」などと書かれた紙札が付いている。

売り場を運営する福市(大阪市西区)の高津玉枝代表は、もともとマーケティング会社の経営者。「企画した商品の原価がデフレで低く抑えられ、生産者のコストが賄えるわけがない」と以前から疑問を抱いていた。

2000年にNGO主催のインドツアーに参加し、貧困や環境破壊を目の当たりにした。「日本の流通業自体が取り組むべき仕事だ」と2006年にフェアトレード製品の販売会社「福市」を立ち上げた。

「名古屋ロフト」や東京の「表参道ヒルズ」などで期間限定の出店を繰り返した後、百貨店業界のリーディングカンパニーで大改修が終った阪急うめだ本店に売り込みをかけて2012年11月、常設店を立ち上げた。

高津さんは「百貨店の売り場は売り上げが落ちれば続けて行けない厳しいビジネスの世界ですが、商品に関わる文化を買うことが素敵という認識がお客さんの間でも広がりつつある」と実感している。

■「作り手よし」「地球環境によし」を加えた「五方よし」

京都市に拠点を置くシサム工房は1999年創業。インド、インドネシア、タイ、フィリピン、ネパールのNGOと協力して事業を展開する。

直営店も関西と東京に9店あるが、オーガニックコットン製品や、フィリピンの環境NGOと協力し森林を破壊しないコーヒー豆などの卸売りもしている。現地では、学校教育や医療サービスなどのコミュニティ支援や、生産者の技術向上も継続的な関係性を築いて粘り強く取り組んでいる。

毎年1回関係者向けに発行する川柳の冊子が面白い。例えば、代表の水野泰平さんの作品は「奮い起つ五方の分だけ荷を背負う」。「五方」とは、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という近江商人の活動理念に「作り手よし」「地球環境によし」を加えたものだ。

「ダメだしにひきつる笑顔が愛おしい」との作品は、フェアトレードでも厳しい品質検査があることをうかがわせる。逆に褒め過ぎて「言い過ぎてちょっと後悔アッチャーハェ」。ヒンドゥー語で「いいね」という意味だ。

インドの手作り品を売る取引先の雑貨店主の実感は「量産とワケがちがうの伝わるわ」。

ファッションショーでは、従業員らがモデルになり「モノの良さ」とともに「背景」も説明し、大量生産品とは違う新しいライフスタイルを提案している。

シサム工房の調べでは関西圏にあるフェアトレード店は現在29軒あるが、それらの多くはFLOやWFTOなどのフェアトレード認証商品ばかり売っているわけではない。

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最終更新:7/4(火) 12:33
オルタナ

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