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TOKYOが一番元気だった時代──ケンゾー 2018年春夏コレクション

7/4(火) 19:06配信

GQ JAPAN

バブル前夜、1980年前後の一番イケイケだった時代のTOKYO。ケンゾーの2018年春夏コレクションを見て、そんな時代の情景を想像した。

【YMOの解散コンサートの衣装からインスパイアされたルックを見る!】

パリ・メンズコレクションのフィナーレを飾るケンゾーの舞台は、パリ15区の高校の中庭。ほぼ真四角の庭は校舎に囲まれていて、コの字型に席が配置されている。席のない奥の校舎の窓には、赤、青、緑などの単色の衣装に身を包んだパフォーマーが姿を覗かせている。

前回から男女の合同ショー形式を取ったケンゾーだが、今回は両者を混ぜることはせず、まずはメンズのショーで幕を開けた。インビテーションに坂本龍一と山口小夜子の写真が描かれていたから、ある程度は想像していたが、メンズのコレクションはYMO時代の坂本龍一、そのものだった。

スーツはボックスシルエットの3つボタンのシングル。パンツは腰回りと太もも周りのシルエットはゆったりで、裾にかけて急速にテイパードするキャロットシルエットだ。ジャケットのポケットのフラップは3枚重ねになっていて、ラペルに付いたチェーンの飾りは脇の下を通っている。1983年のYMOの解散コンサートの衣装からインスパイアされたものだろう。

袖にたっぷりボリュームを取ったジャケットや、ペイズリーのスモックのセットアップは、日本のDCブランド全盛期を想像させる。バンドカラーや第1ボタンまで止めたシャツ(三角形の飾り付き)も、この時代の匂いがする。

パンツはキャロットシルエットに加え、トレンチコートのベルトをウエストに巻いたハイウエストのグルカショーツ、日本の50年代の野球のユニフォームにインスパイアされたベースボールパンツなど。シューズはカンフーシューズのようなグルカサンダル一択だ。

後半はカラフルな色彩と花柄のパレード。アルバムのカバーグラフィックを用いたTシャツ、アルバムからインスパイアされたブルーのモヘヤセーター、大花柄のジャケットなど、色鮮やかな“楽しい”アイテムが登場した。

そして、単色のパフォーマーたちのロープ・パフォーマンスを挟んだ後は、ウィメンズの山口小夜子の時間。世界的なファッションモデルであり、ケンゾーのミューズだったかの女は、ケンゾーとともに数々の名作を世に送り出してきた。キャロル・リムとウンベルト・レオンのふたりは、プレスリリースのなかで「ケンゾーとかの女が築き上げたアーカイブを見れば見るほど、かの女の神がかった変貌ぶりに心打たれた」と述懐している。

ショーの後、ほろ酔い気分で気持ちよく会場を出たら、高田賢三さん本人に遭遇した。道なき道を切り開いてきた3人の日本の偉人の足跡に、酔いしれた夜だった。そしてそれを、日本人以上に巧みに編集した2人の手腕にも。

Words: Kaijiro Masuda

最終更新:7/4(火) 19:06
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