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ダメな経営者は「AIの本質」をわかっていない

7/4(火) 8:00配信

東洋経済オンライン

 日本は今、AI(人工知能)ブームの最中にある。

 AIとは人間の代わりにコンピュータが能動的に知的な作業をする技術。コンピュータ誕生以来、人間が夢想しながらも実社会でなかなか役立つ成果を生みだせなかったが、近年は状況が変わっている。人間があらかじめ判断ルールなどを設定しなくても、コンピュータ自身がデータから傾向や特徴を学び、自ら答えを出す「機械学習」という技術が急速に進歩している。

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企業でもさまざまなAIプロジェクトが進んでおり、この記事を読んでいる人の中にも関連プロジェクトに指名され、事業化を目指して準備中という人もいるだろう。『週刊東洋経済』は7月3日発売号で「60分完全理解 ビジネスのための使えるAI」を特集。リアルなビジネスツールとして浸透しつつあるAIの最前線を追っている。

 もし経営トップが次のような言葉を口にする会社なら、これから経営戦略にAIをうまく取り入れていくことは難しいかもしれない。

 「2045年には『シンギュラリティ(技術的特異点)』がやって来ると言われている。あと30年弱で、AIが人間の知能を上回るのだ」

 「いやいや、AIは囲碁の名人には勝てても、世間話のような簡単なことすらできない。結局、使い物にならないのだ」

 シンギュラリティとはAIを含むコンピュータの能力が人類の能力を超え、社会に大きな変化をもたらす時点のこと。AIが自らの能力を超えるAIを自ら生み出せるようになり、これまでと異なる不連続な世界が出現するともいわれる。

 それを肯定する前者にはAIに対する過大な期待があり、ITに理解が深いようにみえなくもない。一方、後者は、逆にAIを過小評価しているタイプだ。一見すると正反対に見える両者だが、実は大きな共通点がある。それはAIを『2001年宇宙の旅』のHAL9000のような万能のコンピュータと想定している点だ。そしてこれは、現時点でAIを語るうえでは大きな間違いである。

 「AIの歴史とは、従来の機械には不可能だったことをコンピュータで可能にしてきた営み。その意味ではコンピュータサイエンスと呼ぶのが正しかったのに、そこに『人工知能』という人間の知性を想起させる名前が与えられた。今振り返れば、この名前を与えられたこと自体がそもそも不幸だったのかもしれない」。そう指摘するのは、AIベンチャーの国内筆頭格、プリファードネットワークス(PFN)の丸山宏最高戦略責任者だ。

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