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iPad Proは「映画制作」を大きく変えた 監督は「映画史が動いた」と絶賛

7/4(火) 12:00配信

日経トレンディネット

 一昔前まで、いや今も、コンピューターに文字を入力する方法はキーボードが主流だ。だが、タブレットの普及とスタイラスペンの登場によって、手書きも可能になってきた。「紙のノートに近い感覚でメモが取れる」「紙のノートよりも便利」という人がいる一方で、どう使えばいいのか、いまひとつ分からないという人も多い。そんな中、映画制作にiPadをフル活用している映画監督がいるという話を聞いた。『図書館戦争』や『アイアムアヒーロー』で有名な佐藤信介監督だ。「今は絵コンテの作成、進行管理、美術スタッフとの情報共有などにiPadをフル活用している」という佐藤監督。その活用方法を聞いた。

【関連画像】ロケ地探し(ロケハン)で撮った写真をiPadに取り込み、Apple Pencilを使って手描きでシネマカメラの画角を想定した枠線を引いたり、本番で配置する人物や車、大道具などを描き込んだりする。「必要なエキストラが50人なのか、80人なのか。写真に絵を描いて検討するとかなり正確に分かる」(佐藤監督)

 映画は近年、フィルムからデジタルへ急速に移行してきた。半導体や電子機器の技術革新が進んだことで、銀塩フィルムを使うアナログ方式から、CMOSなどの撮像素子を使ってHDDなどに記録するデジタル方式へ移行。画質の優劣などに議論があるものの、撮影・編集・上映に関わる労力や費用を低減できるようになった。また、CGやVFX、3D化など映像表現の幅も広がっている。

 その一方で、絵コンテ作成や進行管理といった制作過程では、デジタル化やそれに伴う効率化がなかなか進まないと言われている。映画制作は、関わるスタッフの数が多く、作業の内容も多様、かつ同時並行で進むからだ。そんな中、デジタルツールの採用に積極的なのが映画『図書館戦争』(2013年)や『アイアムアヒーロー』(16年)で知られる佐藤信介監督だ。

 例えば、2~3年前から、映画・ドラマ制作に特化した共有アプリ「PE RUSH!(ピー・ラッシュ)」や、クラウドサービス「PE CLOUD(ピー・クラウド)」を素材管理に導入。衣装や美術の資料、オーディション映像やラッシュ(編集前の撮影映像)などさまざまなデータを管理し、スタッフ間で共有している。

 「以前は撮影後、疲れているのにみんなで試写室に集まってラッシュを確認していた。その後、DVDなどのディスクに焼いて配るようになったが、手間がかかるし、誰の手には渡って、誰には届いていないなど、管理もしにくかった」(佐藤監督)。PE RUSH!を使うことで、スタッフは各自が持つ端末でサーバーにアクセスし、ラッシュを確認したり撮影現場でキャストに見せたりできるようになったという。「映画は共同作業のかたまりなので、情報共有が楽になるだけでもかなり便利になる」(同)。

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