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銀行はなぜ苦境に追い込まれるのか~金融政策が生み出すリスクと矛盾

7/5(水) 17:30配信

政治山

「預貸金利ざや」は毎年5bpずつ縮小を続け、0.25%近傍に

 銀行が苦しんでいる。

 本業の収益力を示す指標の一つ「預貸金利ざや」は、年5bp(=0.05%)前後のペースで縮小している。この結果、2016年度は0.25%近傍の水準へ低下した可能性が高い(注1)。90年代末の半分以下だ(参考1参照)。

(注1)預貸金利ざや=貸出金利回り-預金債券等利回り-経費率、bp:ベーシスポイント

 これに有価証券の運用収益等を加味した「総資金利ざや」も、2016年度は前年度(0.10%)を割り込んだ可能性がある(注2)。

(注2)総資金利ざや=貸出・有価証券等の資金運用利回り-資金調達原価(経費を含む)

 「預貸金利ざや」や「総資金利ざや」は、配当だけでなく、将来の金利上昇や企業倒産に備えるバファー積立ての難易を左右する。今のような超小幅の利ざやが続くようであれば、次第にバファーの積立てにも苦労することになるだろう。

貸出金利回りは年0.1%前後のスピードで低下

 「預貸金利ざや」の縮小が続くのは、(1)貸出金利回りが低下を続けていること、(2)預金金利が低下余地を失っていること、(3)経費率の圧縮も限界が近づいていること、による。

 貸出約定平均金利は、昨年末、ストック(貸出残高平均)の金利がついに1.0%を割り込んだ。だが、新規はこれをさらに0.3%弱下回る(参考2参照)。したがって、仮に新規が下げ止まるとしても、ストックの金利は今後も低下が続き、利ざやはまだまだ縮小する公算が大きい。

30年0.8%の固定金利で貸出を行う独立行政法人

 貸出金利の低下は、もちろんマイナス金利政策の反映である。しかし、背後にはもう少し複雑な事情がある。

 銀行は調達コストにリスクと経費を勘案して貸出金利を設定する。したがって、日本銀行がどんなに巨額の資金供給を行っても、貸出金利の引き下げにはおのずから限界がある。にもかかわらず貸出金利が低下を続けるのは、政府系機関の超低利融資から大きな影響を受けているからだ。

 たとえば、地域金融機関の競合相手の一つに福祉医療機構がある。同機構は、「福祉の増進と医療の普及向上」を目的として、病院や特別養護老人ホーム、保育所への貸し付け業務を行う独立行政法人だ。

 その融資金利(固定)は、「社会福祉事業施設向け」および「病院向け(新築資金、甲種増改築資金)」で、29年超30年以内0.8%、25年超29年以内0.7%である。また、変動金利型は、22年超30年以内(10年経過ごとに見直し、当初10年)で0.23%である(2017年6月26日現在、同機構HPより)。

 民間銀行からみれば、この金利水準は想像を絶する。全国銀行の経費率0.8%台を踏まえれば、民間は経費を賄うことすら難しい。ましてや、将来の金利上昇リスクを勘案すれば、民間銀行の眼には「貸せば赤字」の貸出に映る。

 政府系金融機関の金利も低い。日本政策金融公庫の「中小企業事業向け」は、基準利率こそ18年超20年以内(固定)1.5%だが、優遇金利である「特別利率」(固定)は同0.6~1.1%とされる(2017年6月26日現在、同公庫HPより)。

 そもそも日銀自身も、オペの一環として社債を0%近傍で購入している。これも民間は追随できない。経費、金利リスク、信用リスクをカバーできない金利だ。

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最終更新:7/5(水) 17:30
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