ここから本文です

あなたも機械と会話するようになる

7/5(水) 12:31配信

Wedge

 「10秒タップする代わりに、スマホと60秒話したいとは思わない」。そう考えている人は多いようです。

 クリエイティブ・ストラテジーの調査(米国)に、iPhoneとAndroidスマートフォンのユーザーのほとんどが、「ヘイ、シリ」や「オッケー、グーグル」などと呼びかけたことがあると答えています。しかし、それぞれの70%と62%は、その機能をごく稀にしか使っていないと告白しています。そして、それらの音声アシスタントと公共の場で会話する人は、6%とさらに少なくなります。

 車の中での音声アシスタントの利用度が高いことは理解できますが、iPhoneユーザーの62%に対し、Googleマップと親和性の高いAndroidスマートフォンのユーザーでは37%と低くなっているのは意外です。しかし、Androidスマートフォンでは、「オッケー、グーグル」と呼ぶことで音声アシスタント(Google Assistant)を起動できるようになったので、今後、利用度は増加するでしょう。

 公共の場での利用度が低いのは、スマートフォンと話すことが恥ずかしいからだと思うかもしれません。

 しかし、クリエイティブ・ストラテジーは、音声アシスタントとの会話に不快感を感じているからだと推測しています。効率が悪いから「10秒タップする代わりに、スマホと60秒話したいとは思わない」のです。それは、公共の場で、iPhoneの音声アシスタント(Siri)を使う割合が、3%と低迷している理由でもあると考えているようです。公共の場で大声で携帯電話で通話することは、米国では普通のことです。逆に、日本人が通話口を手で覆ってヒソヒソと話す姿を奇異に感じるようです。

 なぜ、音声アシスタントとの会話に、特に公共の場で不快感を感じるのでしょうか。

 音声アシスタントは、人間の音声をテキストに変換して、その意図を解析します。音声をテキストに変換する音声認識の精度は、ここ数年の機械学習の進歩によって飛躍的に向上しました。しかし、テキストの意図を理解して、ユーザーの質問やリクエストにこたえる自然言語処理に関しては、まだ「自然」と言えるレベルには到達していません。

 iPhoneでSiriに「なにができますか」と尋ねると、アップル謹製のアプリと、Siriに対応した他社のアプリの一覧が表示されます。他社製アプリの少なさも問題ですが、それぞれのアプリについて「たとえばこのように尋ねてください」と示された例(ルール)が、ユーザーが不快感を感じる理由を表しています。

 ルールを忘れて言い方を間違えたり、伝えるべき情報が不足していたりすると、音声アシスタントは、こちらの意図と異なった答えをしてどこかへ消えてしまいます。もう一度「ヘイ、シリ!」と呼んで、最初からやり直さなければなりません。公共の場で大声で通話することが普通のことであっても、スマートフォン相手に格闘している姿は晒したくないでしょう。家の中のようなプライベートな空間と違って、笑って済ます心理的な余裕もないかもしれません。

 最近、アップルのHomePod、アマゾンのEcho、そしてグーグルのHomeなどのスマートスピーカーが話題になっています。

 スマートスピーカーを使って、ユーザーはクラウドの音声アシスタントと会話することができます。音声認識と自然言語処理をクラウドで行うのか、その一部をスマートフォンやスマートスピーカーのようなエッジ側が担うのかは、各社がパフォーマンスとコストの兼ね合いを試行錯誤している段階ですが、他社のサービスと連携するプラットフォームはクラウド側に移って行くと思われます。アマゾンのクラウドの音声アシスタント(Alexa)と連携する、スキルと呼ばれる他社のウェブサービスの数は増え続け、すでに6月には1万2000を超えています。

 例えば、アマゾンのEchoから、ドミノピザの注文をAlexaに頼むことができます。でも、「アレクサ、バッファローチキンとフィリーチーズステーキ、それから今日はパシフィックベジーもお願い」という訳にはいきません。ちゃんとルールを守って、「アレクサ、ドミノにいつもの注文をして」と言わなければならないのです。「いつもの注文」は、あらかじめパソコンやスマートフォンから設定しておきます。

1/3ページ

最終更新:7/5(水) 12:31
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2017年9月号
8月19日発売

定価500円(税込)

■特集  捨てられる土地
・所有者不明だらけの日本国土
・所有者不明土地が招く空き家問題
・登記義務化と利用権制限 次世代のための制度改革を