ここから本文です

【写真特集】銃撃の被害者、それぞれの物語

7/5(水) 18:37配信

ニューズウィーク日本版

<銃撃事件による被害者の、心と体の傷に光があてられる機会は少ない>

「傷跡は物語。除去する手術を受けたいと冗談で言ったこともあるけれど、私がいま生きていることが奇跡だし、傷跡はその事実を物語ってくれる。」――Megan Hobson(冒頭写真の女性)

写真集『SHOT』は銃撃を生き延びた者たちの物語。キャシー・ショアは2013~15年にかけて、全米101人の銃撃被害者の撮影を行った。

被害者の人種や民族は多様で、バックグラウンドも軍人や元ギャング、歌手、銀行幹部、さらには8歳の小学生までと幅広い。全米ライフル協会(NRA)のメンバーで、自らの銃のおかげで一命を取り留めた者もいる。

撮影場所の多くは、彼らが実際に銃撃を受けた場所だ。車の中や自宅、教会、公共交通機関の中など、日常的な場所ばかりで、普通の人たちであってもいつどこで被害に遭うか分からないという現実を物語っている。

【参考記事】<写真特集>女性限定、銃の使い方教えます

ショアが被写体として銃撃の被害者を選んだ理由はいくつかある。高校教師として働いていたとき、銃で殺された家族や友人の写真を持ち歩く生徒を何人も目にしたことも理由の1つだ。

だが銃による暴力を受けた負傷者が、顧みられる機会は少ない。傷が目立たなくなったり服の下に隠れていたりすれば、彼らの心と体の傷は見過ごされやすくなる。銃所持をめぐる議論において、やはり「犠牲者」である彼らの痛みに光が当たることがショアの願いだ。

Photographs from "SHOT...101 Survivors of Gun Violence in America" (powerHouse Books) by Kathy Shorr


「死がもたらす痛みじゃない。生きることが痛みをもたらすんだ。」

<Phillip Gouaux>義理の息子が銃を乱射し、彼は喉を撃たれた。この事件で彼の妻は命を奪われ、娘の1人は重傷を負った。結局、3人を殺害して3人を負傷させた義理の息子は自殺した


「1分もあれば十分、人生なんて完全に変わってしまう。当たり前だと思っていたことも1秒後には全く別の姿に変わってしまう。」

<Dayna Roscoe>陸軍軍曹の彼女は、フォートフッド陸軍基地での銃乱射事件で負傷した32人のうちの1人(死者13人)。テーブルの陰に隠れているところを見つかり、3発の銃弾を受けた


「自分が撃たれるなんて、そのせいで車椅子生活になってしまうなんて考えたこともなかった。そういうことはどこか別の場所の、別の人に起こると思い込んでいた。考えられないような現実が起きたあの日までは。」

<Mariam Pare>運転中の車を赤信号で停車させたとき、首に銃撃を受けて四肢に麻痺が残った。口や足で絵を描く団体に加盟した彼女は、芸術には試練を乗り越える力があると信じている

「自宅の前で8発の銃撃を受けた後、銃撃犯を倒して組み伏せようとした。そのときにポケットから銃を抜き男に向かって撃ったんだ。」


<Jeff Droke>ある男女に不利な証言をしたところ、彼らが雇った男から頭部への2発を含む8発の銃撃を受けた。所持していた銃で反撃したことが、自らの命を救ったと彼は考えている


<Shirley Justice>娘たちを保育園に迎えに行った帰りに元夫に待ち伏せされ、2つの銃から14発の銃弾を浴びたシャーリー・ジャスティスは主要な臓器や動脈に多くの傷を負った


<Gus Mojica>ライバルのギャング団メンバーから両脚を銃撃されたガス・モジカは片足を切断


<Rayvn Richards>10代の頃に友人に撃たれて失明したレイブン・リチャーズは現在、銃の暴力について語る活動を行っている


「銃で撃たれ、死んだと思われて人気のない通りに放置された精神的ショックは永遠に忘れはしないだろう。でもそれから、トラウマをもたらした経験を自分が成長するために役立てようと考えるようになった。」

<Gabrielle Schang>人気のない通りで車に押し込められ、強盗・強姦の被害に遭った元新聞記者。何とか逃げようとドアを開けて道に転がり出たところを、背後から銃撃されたという

「あれは6歳の時だった。ユダヤ人の活動に参加した私の前にネオ・ナチのメンバーが立ちはだかった。」


<Josh Stepakoff>6歳の時、ユダヤ人コミュニティーの活動に参加した彼は、そこでネオ・ナチのメンバーに銃撃された。3人の子供を含む5人が撃たれた



「今になって分かるのは、周辺に私のような一般の市民がたくさんいたというのに、2人の警官は挙動不審の人物に何度も繰り返し発砲したということだ。」

<Sahar Khoshakhlagh>彼女が銃撃されたのは、ニューヨークの繁華街タイムズスクエアを、いとこと散歩していたときのこと。別の人物を追跡していた警官の流れ弾が彼女を襲った


「あの恐ろしい夜以来、事件現場に連れてきた女性は君が初めてだ。ここに来ると背筋がゾッとする。ナイル川みたいに血が流れるなかで私は内臓が腹の外に出ていかないよう押さえ付けていたんだ。」

<Albert Randle>給料の小切手を現金に換えた直後、至近距離からショットガンで腹部を狙撃された。それ以降、彼は2度の脳卒中を患い、現在は心臓移植手術の順番を待っている


<Taniya Cheatham>8歳の彼女は学校の教室にいたところを同級生から撃たれた。撃った男児は自宅で銃を見つけ、学校に持ってきたという


撮影:キャシー・ショア
米ニューヨーク生まれ。大学で写真と教育を学び、フリーランス・フォトグラファーとして活動している。本作は、新刊写真集『ショット...101サバイバー・オブ・ガン・バイオレンス・イン・アメリカ』からの抜粋

[2017年6月20日号掲載]

<「Picture Power」の記事一覧はこちら>

Photographs by Kathy Shorr

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ニューズウィーク日本版

CCCメディアハウス

2017-10・24号
10/17発売

460円(税込)

他の日本のメディアにはない深い追求、
グローバルな視点。
「知とライフスタイル」のナビゲート雑誌。