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原発労働者の描く強烈な漫画! いま福島で行われている「世界初の作業」とは何か?

7/5(水) 6:30配信

Book Bang

『いちえふ』は福島第一原発(通称1F)で働いていた廃炉作業員が、その経験をもとに構成したルポ・マンガである。

結論から言おう。これはすごい作品である。日本のマンガのレベルの高さを世界に知らしめる名作であり、マンガの歴史に残る作品である。もし未読なら、今すぐ読みなさい。

この作品の美点のひとつは作者の気取らないスタンスにある。だから、あんまり持ち上げるのはどうかとは思うんだが、指摘しないわけにはいかない。

もう一度言う。
『いちえふ』は、日本が世界に誇るべき作品である。

原発事故はもはや、めずらしいものではない。チェルノブイリにもあったし、スリーマイルにもあった。そのたびに数多くの書籍が出版されているし、なかには本作と同じ、現場作業員によるレポートもあっただろう。

しかし、それをマンガでやったなんて例はない。「作業員が見た事故後の原発と廃炉作業」というテーマをマンガという形で表現しえたのは、『いちえふ』と竜田一人のみなのである。そのことに、もっと意識的になるべきだ。

日本のマンガ文化を海外に自慢したいんだろ? だったらそのくだらねえマンガじゃなくて、『いちえふ』を見せてやれよ。みんなびっくりするぜ。

さらに、今、1Fで行われている作業は、過去類例のない、世界初のこころみである(なんでこれをもっとアピールしないのか、自分にはまったく理解できない)。むろん、この方針には賛否両論ある。しかし、竜田一人が描いているのが世界初の一部であることは事実なのだ。この点でも、『いちえふ』はもっと評価されていい。

原子力すなわち核融合とは現代物理学の粋である。人類が自然に頼らずみずから生み出す、唯一無二のエネルギーだ。簡単に理解できるものではない。2011年の大震災以降、そのしくみを解説する出版物はいくつも出たし、テレビの報道番組の特集もたくさんあった。平易な解説はいくつもあったし、自分もそうしたものによってかなりの知識を得た。

しかし、いかなる解説も、この作品で表現されたことは描くことができなかった。放射能の恐怖も、登場人物が語る
「放射能なめんな!」
の怒号以上に、説得力をもって主張されたことはなかった。

この作品は、古今東西、原子力発電所について作られた本の中で、もっとも平易でわかりやすいものである。原子力発電のしくみはここには説明されていないが(たぶん、作者にたずねても「わかんない」というだろう)、どんな表現より直感的に、原発という場所が理解できるようになっている。そんな作品は、本作をのぞいて他にはない。

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最終更新:7/5(水) 6:30
Book Bang

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