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沖縄を守る自衛隊を沖縄のマスコミは「差別」していた?【評論家・江崎道朗】

7/5(水) 15:50配信

週刊SPA!

【江崎道朗のネットブリーフィング 第15回】

トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

◆都民ファースト圧勝はマスコミのせい?

 都知事選で、小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が圧勝した。

 テレビでは連日、自民党の国会議員のスキャンダルが報道され、嫌気がさした都民たちが自民党にお灸を据えるために都民ファーストの会の候補者を支持した、という観測が専らだ。

 確かにテレビや新聞などは「第四の権力」と呼ばれるほど、影響は大きく、マスコミの暴走をどう防ぐのかは、世界各国でも大きな課題となってきている。

 議会制民主主義国では、権力の暴走を、選挙による民意反映の仕組みを担保した上で、三権分立といって、政府と国会と裁判所は相互にチェックをすることで防ぐ仕組みがある。だが、マスコミの暴走をチェックする仕組みはなく、マスコミ同志が相互にチェック機能を働かせていくことを期待するしかない。

 とはいえ、言論の自由は民主主義の基本だ。絶対に言論の自由は守らなければならない。ただし、いくらマスコミとはいえ、現行憲法は守らないといけない。

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 憲法第14条にあるように、いくらマスコミでも「政治的、経済的又は社会的関係において、差別」してはならない。そのため放送法でも、次のように定められている。

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 ところが沖縄では、マスコミがこの憲法第14条違反をしている恐れがあるのだ。

◆沖縄のマスコミが「自衛隊」差別をしていた?

 月刊『正論』平成25年7月号に載った「地元メディア 反日偏向報道の淵源」と題する記事によれば、琉球新報社、沖縄タイムス社、琉球放送株式会社、株式会社ラジオ沖縄の四社がそれぞれの社の労働組合と、以下のような「自衛隊」差別の秘密協定を結んでいたという。

《琉球新報社》

 琉球新報社と琉球新報労働組合は団交の合意に基づき次のとおり確認する。



一、社は一九七四年二月那覇マラソンへの自衛隊参加をめぐって組合と取り交わした「社の事業には自衛隊ならびに自衛隊員は参加させない」と了解事項を再確認する。

一、自衛隊が参加するおそれのある社の事業については参加資格の項に「自衛隊ならびに自衛隊員は参加できない」ことを明記する。

一、本覚書を遵守する立場から社は、社内はもとより共催、協賛団体に対しても覚書の趣旨徹底をはかるものとする。

 一九七五年十一月六日

《沖縄タイムス社》

 自衛隊ならびに自衛隊員の本社主催事業への参加問題について沖縄タイムス労働組合と沖縄タイムス社(以下、会社とする)は、左記のように確認する。



一、会社は、反戦平和の理念を明確にするため自主の主催する事業には原則として自衛隊ならびに自衛隊員は参加させない。

一、会社の主催する事業だけでなく、共催、後援、協賛等の団体に対しても右記の趣旨の徹底を図るものとする。

 一九八二年四月二十三日

《琉球放送》

 琉球放送労働組合と琉球放送株式会社は、自衛隊問題について左記のとおり確認する。



 琉球放送株式会社は、マスコミが第二次世界大戦において日本軍部の大本営発表を報道し、戦争の加担者になってしまった忌まわしい過去への痛苦な反省の上に立って、恒久平和をめざし、戦争につながる一切のものに反対していく立場を明確にする為に「自社の主催行事等には自衛隊ならびに自衛隊員は参加させない」こととする。

 一九八二年四月二十一日

 ラジオ沖縄も同様の秘密協定を結んでいるという。

 これらの秘密協定の文面は、自衛隊および自衛隊員を明らかに差別しており、これらの協定が本物ならば、憲法第14条の趣旨に違反していることになる。

 そこで月刊『正論』編集部は上記四社に対して、①この労使間協定・確認がかわされた経緯、②協定・確認事項に対する見解、③協定・確認は破棄されたのか――について質問状を送った。

 これに対し琉球新報は総務部長名で「説明やコメント等は控えさせていただきます」と回答。沖縄タイムスは総務局長が「回答しません」と回答してきた。両紙とも「そんな秘密協定は結んでいません」と明確に否定しなかったのだ。

 ということは、この秘密協定は現存し、いまも有効なのかも知れない。とすれば、これは偏向報道なんという生易しいものではなく、明らかに憲法違反の「人権」侵害事案であり、法務省や日弁連の出番となる。労働組合案件なので、連合も調査に乗り出すべきだろう。

「差別」反対を訴えている法務省や日弁連の皆さん、聞いていますか。また、「差別」反対で人権問題に熱心な朝日新聞さん、是非ともこの疑惑、追及してくださいね。同じマスコミだからという理由で、まさか「差別」疑惑を黙認するようなことはしないですよね。

 一方、琉球放送は総務部長名で次のような回答が寄せられた。(月刊『正論』平成25年8月号)

「お問合せの文書は、昭和57年(1982年)4月に弊社の労使の間で交わされた社内文書と同一の内容です。当時は、沖縄の本土復帰(自衛隊配備)から10年しか経過しておらず、沖縄戦を経験した県民は自衛隊に複雑な感情がありました。この書面は、そうした県民世論の下で内部的に結ばれたもので、文書の拘束力の有無に関わらず、現在では具体的な対応はしていません」

 テレビ局は放送法という法律があるためか、さすがに不味いと思ったのだろう。事実関係を認めた上で、この秘密協定は現在は失効していると主張したわけだ。

「自衛隊」差別の秘密協定を少なくとも琉球放送は結んでいた。となると、琉球新聞、沖縄タイムスもかなり怪しいことになる。

◆沖縄県民の生命と安全を命がけで守っている自衛隊

 このように沖縄2紙によっていまも「自衛隊員」は不当な差別を受けている可能性が高い。なぜ法務省や日弁連が調査に乗り出さないのか、不思議でならないが、実はこの自衛隊が沖縄では、沖縄県民の安全と生命を守っているのだ。

 那覇駐屯地にある陸上自衛隊第15旅団には、沖縄ならではの特別な部隊が存在している。

 その一つが、緊急患者空輸を担任実施している「第15ヘリコプター隊」だ。

 担任区域は沖縄全域及び奄美大島以南の鹿児島県で、常時航空機を待機させ、離島などに在住する緊急患者空輸の為の即応体制を維持している。

 沖縄の本土復帰に伴い自衛隊が沖縄に配備された昭和47年、粟国島への初の緊急患者空輸以来、両県民の命綱として活動しており、平成29年6月29日現在で緊急患者空輸実績は9135件、9491名に及ぶ。この45年間で実に1万人近い沖縄・鹿児島県民が助けられたことになる。1年で200回以上出動している計算だ。

 もう一つが、「第101不発弾処理隊」だ。

 沖縄県の陸上で発見された不発弾の処理を任務とする隊長以下20名程度の高い技能を持つ少数精鋭の部隊で、常時1組3名が直ちに出動できる態勢を維持している。戦後70年が過ぎた今でも米軍が落とした不発弾などが発見されため、その処理が日常的に必要なのだ。

 平成29年6月29日現在で不発弾処理の実績は3万6358件に及ぶ。1年で平均して800件、つまり一日2件以上処理をしている計算になる。

 実際に担当者からも話を伺ったが、不発弾処理は極めて危険な作業であり、事故が起こればそれは即ち隊員の殉職を意味することにもなりかねないのだという。まさに命がけで沖縄県民の安全を自衛隊は守っている。そのためか、復帰から45年が経過し、自衛隊はすっかり沖縄県民から受け入れられるようになったという。

 ところが、このような沖縄での自衛隊の「命がけ」の奮闘ぶりをなぜか沖縄2紙、つまり琉球新報も沖縄タイムスだけはほとんど報じていない。

 連日、沖縄県民の生命と安全を守っている自衛隊に対して、あまりに不公平な扱いではないのか。2紙は、他の問題でも公正な報道をしていないのではないのか。そんな不満を背景に、石垣に拠点を有する「八重山日報」がこの春、沖縄本島に進出し、販売を始めた。

 この八重山日報は、尖閣問題や中国の軍事動向など、これまで沖縄であまり報じられてこなかった安全保障問題にも力を入れているためか、沖縄本島でも購読者数が急増しているという。

 マスコミの健全な発達のためには、マスコミ相互のチェックが重要だ。

 八重山日報には法務省や日弁連と連携して、差別反対、人権重視の立場から、沖縄2紙による、自衛隊員に対する「人権侵害」疑惑についても取り組んでもらいたいものだ。

 また、自衛隊の法的な立場を確定させるため憲法九条改正を検討している自民党も、自衛隊員に対する差別問題について徹底的に調査し、国会で議論をすべきであろう。憲法審査会の議題としてふさわしい案件であるはずだ。

【江崎道朗】

1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など

日刊SPA!

最終更新:7/5(水) 15:50
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