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交通安全活動「緑のおじさん」、謝礼を求めても大丈夫か?

7/6(木) 15:00配信

マネーポストWEB

 登下校の時間帯に街を歩いていると、児童の安全を確保するために子どもたちを誘導する大人の姿を見かけるが、ああいった交通安全活動に謝礼を求めてはいけないのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 昨年、バスの運転手を定年退職、その経歴を見込まれ、町内会から「緑のおじさん」を頼まれました。しかし、高齢と持病の腰痛のせいで、朝早くからの子供たちの誘導活動はしんどいです。これが少額でも謝礼などが支給されていれば割り切れますが、やはり金銭を町内会に求めるのは間違っているでしょうか。

【回答】
 ボランティアについては、規定する法律はありません。厚労省の資料では、一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動といわれています。

 活動の性格として、「自主性(主体性)、社会性(連帯性)、無償性(無給性)等があげられる」とされていますが、他方で「ボランティア活動を行い、実費や交通費、さらにはそれ以上の金銭を得る活動を『有償ボランティア』と呼ぶ例もある」と説明されています。なので、経費や対価の支払いがある例もあるようです。

 従って、謝礼を要請するのは、間違っているということはありませんが、町内会の理解を得ることができるかはわかりません。

 それとは別に、注意すべきことがあります。ボランティア活動は、無償であっても、責任があるということです。昔の事件ですが、子供会の海水浴で発生した水難事故について、ボランティアで引率した親の責任が問われました。

 札幌地裁が「無報酬の社会的に有益ないわゆるボランティア活動であるということのみから当該活動の場で予想される危険についての予見及び結果回避に必要な注意義務が軽減又は免除されるべきであるとの結論を導けない」と判断し、世間に大きな衝撃を与えました。

 その後も、ボランティア活動に関する事故の責任が問題になった事例もあります。また、注意義務違反がなかったとして、ボランティアの責任を否定する判決もありますが、無償だからといって、注意義務が軽減されることはないという原則は変わりません。

 そこで謝礼もさることながら、事故の際にボランティアのケガだけでなく、第三者に対する賠償責任を担保するボランティア保険に入るよう、町内会などに求めてはいかがでしょうか。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年7月14日号

最終更新:7/6(木) 16:16
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