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「対話」を通した学び合いにより主体的な市民が育つ~首長部局がリードする「地方創生に向けた学び合いの場」の可能性2

7/6(木) 12:10配信

政治山

「ナナメの関係」と「越境学習」

 今回のコラムでは前回に引き続き、「対話」「地方創生」「シチズンシップ教育(主権者教育)」を柱に筆者の考えを整理していく。

 「ナナメの関係」という言葉がある。タテの関係は、子どもたちにとって親や先生。上下がはっきりしていて、依存または反発の関係になってしまいがちだ。逆にヨコの関係は、友達や同世代。同一性が高く、交わされる話も雑談が多くなる。「ナナメの関係」とは、親や先生、友達や同世代でもない、利害関係の無い第三者の大人と子どもとの新しい関係のことを指す。

 文部科学省も、「学校は地域の人材を活用してナナメの関係をつくろう」と、学校内外で子どもが多くの大人と接する機会を増やすことを訴えている。「ナナメの関係」により、子どもは幅広い価値観と生き方を知ることができる。自分の親からは怒られてばかりかもしれないが、親ではない大人から褒められることで、自己肯定感が生まれる場合もある。

 「経営学習論」の概念で、「越境学習」という考え方がある。「越境学習」とは、個人の所属する組織の境界を行き来しながら学習し、気付きを得るというものだ。自治体職員が、民間企業の社員と一緒に研修を行うことなどがこれに当たる。「ナナメの関係」は、まさに「越境学習」である。

 人は自分の枠組を通して、自分、他者、世界を見ている。その枠組は、自らの経験から蓄積され形作られていく。そのため、大人と比べ子どもの枠組は相対的に小さい。第三者の大人との対話の経験を通して、子どもは、自分が当たり前だと思っていたことが「へん」だったのではと「ゆらぎ」、自分の思考の枠組に「気付く」。結果として、視野が拡大され、新しいモノの見方、考え方を身につけていく。

 もちろん、気付きが起きるには前提が必要になる。その対話の場が、本音を言える安全な場であること。安全な場であることで、子どもたちも変化を受け入れる心の準備ができる。また、対話の場での大人の適切なフィードバック、投げ掛けの言葉も重要になる。大人の価値観の一方的な押し付けでは、「ゆらぎ」は起きない。子どもたちが自己開示できる場の雰囲気と、適切なフィードバックにより、子どもたちのモノの見方、自分自身のあり方を自ら変えることになる。子どもたちの視点から言うと、「越境学習」は三段跳びの「ホップ」のようなものだと思う。最終の着地点はまだ分からないが、まずは一歩踏み出してみる。踏み出すこと、越境することで、見える世界が変わってくる。

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最終更新:7/6(木) 12:10
政治山

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