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現役CAの着用済みの制服をリサイクル!スターフライヤーがCA人形を作った理由

7/6(木) 7:02配信

@DIME

北九州空港を拠点に2007年、羽田~北九州線に就航したスターフライヤー。就航時から「黒」をコーポレートカラーにスタイリッシュな航空会社として注目を集め、現在では、就航当初からの羽田~北九州線に加えて、羽田から関西・福岡・山口宇部を含めた4路線、また福岡~中部線も運航する。更に今年は夏季限定(7月4日~10月10日)で北九州~那覇線を運航するなどこの10年間で成長した航空会社の1つである。

そんなスターフライヤーは就航10周年を機に制服を一新し、従来のパンツスタイルに加えて、スカート、ワンピースを合わせた3種類から選べるようになった。スタイリッシュなパンツスーツの制服を着用したくてスターフライヤーの客室乗務員になった人もいるなど「格好いい制服」というイメージを定着させたのが初代制服であった。制服のリニューアルにあたり、就航から10年間愛用された制服を「形のあるもので後世に残していきたい」と考えた中で、制服を再利用した人形を制作することになり、試行錯誤を繰り返して完成したのが「スターフライヤー キャビンアテンダント人形」である。スターフライヤーの受注販売商品として、2017年6月1日~7月31日の期間中に搭乗した乗客が申し込みできる。限定200体で、200体以上の申し込みがあった場合には抽選での販売となり、価格は5万円(消費税込み)。

他社では前例がないこの商品を企画したのは、就航からスターフライヤーで勤務する運送客室本部客室部業務課のアシスタントマネージャー秋山真裕子さん。機内用品・サービス品・機内販売の選定・調達などを担当している。「CA人形は世の中に出ているが、それをリアルな制服にしたら、リサイクルにもなるし、話題性にもなるので面白いと思った」とアイデアを出した秋山さんが今回、人形制作を依頼したのは、東京・葛飾でソフトビニール製玩具を中心に製作する可動式ボディのパイオニア「オビツ製作所」であった。

だが、実現するまでには大変な苦労があったのだ。初代制服を人形にすることは決まったが、人形を製作する会社とのコネクションは一切なく、いくつもの会社にコンタクトをしたが、なかなか実現できる会社はなかった。リサイクル会社に制服を手渡すというタイムリミットが近づく中、直前まで製作してくれる会社を探した。

最後だと思い、今年1月16日に「オビツ製作所」のお問い合わせページからダメもとでメールを送ったのだった。株式会社オビツ製作所は創業時より、一貫してオリジナル商品「オビツキューピー」の国内生産を続け、世界各国に輸出されている。対応したオビツ製作所の牧有里子さんは「あまりにも斬新で実施が難しそうな企画に連絡を躊躇していた」と最初は判断に迷っていた。だが再度、秋山さんからのメールや電話で話した際に「10年間愛着を持って着用していた思い出の制服を人形として残したい」という熱い想いを聞き、受けることにしたそうだ。

その後、ほぼ毎日、この二人は連絡を取りながらサンプル品を完成させるために動き、試行錯誤の末、4月にサンプルを完成させることができた。靴、ストッキング、ボディなどはオビツ製作所の既製品を使用しているが、それ以外のジャケット、パンツ、ブラウス、スカーフは実際に客室乗務員が着用していたものだ。

秋山さんにサンプル品が完成した「キャビンアテンダント人形」のこだわりのポイントを聞いた。まずは刺繍とのこと。右肩と左足のところにスターフライヤーのロゴが隠し刺繍されている。「これはオビツ製作所が小さいサイズの刺繍を再現してくれたからこそ実現できたものです」と話す。また、髪型にもこだわり、「特に前髪が大変でした。髪のアップスタイルを保ちながら切り目が見えないようにして欲しいなどのリクエストにも答えていただきました」と苦労を話す。

牧さんもCA風シニヨンに髪をアップすることが難しく何度もサンプル製作をしたそうだ。それ以外にも、通常は新しい布を裁断するが、今回のように「着用済みの布」を裁断したのは初めてで、傷・汚れ・ヨレがない箇所を確認しながらの裁断となり時間と集中力を必要としたそうだ。時には職人でも製作不可能な箇所があったが、そのときには秋山さんから「こうしたらできるのではないでしょうか」とサンプルを自身で試作し、送られてきたこともあった。そのサンプルからヒントを得た箇所もあり、牧さんは「スターフライヤーさんの交渉術も勉強になった」と話す。

今回、実際にキャビンアテンダントが着用していた60人分のジャケット、パンツ、ブラウス、スカーフが使われ、製作できるのは200体ということになった。完成したサンプル品を見た客室乗務員からは「形に残って嬉しい」「再利用ができてよかった」「スターフライヤーのイメージ通りのCA像になった」などの感想が聞かれ、社内から社内販売はないのかという声も出ている。

オビツ製作所にお願いするのにあたり、「Made in Japan」と熟練の職人による手作業にこだわった。外国での大量生産で安く作れるものではなく、職人の「技」と「手間」がかかっているため、5万円という価格設定になっている。さらに秋山さんは「私たちの10年着用していた制服の思い出なども考慮した価格設定である」と付け加えた。もちろん利益が大きく出るものではなく、しかもその利益の一部は寄付することになっている。スターフライヤーの機内販売自体のポリシーとして、「儲けを重要視している訳ではなくお客様に持ってもらってスターフライヤーをより好きになってもらいたい」(スターフライヤー広報の森安亜美さん)という想いがあるからだ。

実際の制服を使ってのキャビンアテンダント人形は国内の航空会社では初めてのケースということで、改めて秋山さんは「制服をリサイクルして他のものにするよりも、人形にすることで、客室乗務員のイメージのミニチュア版として残るものにできて良かった」と話す。今回、製作できたのは200体分のみで、追加販売の予定は一切ないとのこと。このスターフライヤーの10年間が詰まった「キャビンアテンダント人形」を買うことも含め、スターフライヤーに乗って旅を楽しんでみてはいかがだろうか。

取材・文/鳥海高太朗

@DIME編集部

最終更新:7/6(木) 7:02
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