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広島・森保監督の退任に思う。クラブはビジョンを見失っていないか

7/6(木) 8:00配信

webスポルティーバ

 蝕(むしば)まれるように、不振の兆候は少しずつ、少しずつ見られていた。指揮官はその流れに抗(あらが)おうとしてきたが、チームを率いて6年目となった今季、大きく狂った歯車をもとに戻すことはできなかった。

【写真】サンフレッチェはバーベキューでも効果なく……

 7月4日、サンフレッチェ広島は森保一監督の退任を発表した。シーズンの折り返しに当たる17試合を終えて、2勝4分11敗の17位。降格圏に苦しむ現状を考えれば、クラブに3度のJ1優勝をもたらした功労者とはいえ、やむを得ない決断だったと言えるだろう。森保監督はクラブを通じて、こうコメントを残している。

「プロは結果がすべての世界。皆さまに喜んでいただけるような結果を残すことができず、申し訳ありません」

 常々「批判されるのは選手ではなく、監督である自分」と語っていただけに、今季について触れれば、森保監督自身もその采配がぶれた。シーズン開幕前は、これまで築いてきた最終ラインから丁寧にパスをつないでボールを保持するサッカーからの脱却に着手。前線から積極的なプレスをかけ、高い位置でボールを奪取し、素早く攻撃に転じるサッカーへのバージョンアップを図ろうとした。ところが、開幕戦から勝ち星に見放され、第2節からは4連敗を喫してしまう。

 同時にクラブは、3度のJ1優勝に貢献したFW佐藤寿人(名古屋グランパス)が移籍で退団し、MF森崎浩司が現役を引退するなど、世代交代を敢行した。彼らに代わってMF青山敏弘やDF千葉和彦、さらにDF塩谷司(6月にアル・アインへ移籍)らがチームを牽引していく覚悟を持って臨んだが、結果、内容ともに伴わず、次第にそのパフォーマンスにも影響を及ぼすようになった。

 ひとつターニングポイントを挙げるとすれば、3-3で引き分けたJ1第8節のベガルタ仙台戦だろう。かつての広島なら2点を先取すれば、確実に勝利できる試合巧者だったが、仙台の反撃に付き合い、自分たちもさらに前への圧力を強めてしまった。試合終了間際に追いついたとはいえ、立て続けに3点を奪われ、勝ち点を取りこぼす。

 顕著だったのは、ピッチに試合をコントロールできる選手が不在だったことだ。2点のリードを奪っておきながら、広島は攻撃に打って出たことで逆にスペースを与えると、その綻(ほころ)びを突かれたのである。

 なかなか浮上できない状況に、森保監督は原点に立ち返ろうと昨季までの戦い方に戻したが、自信を失った選手たちは、かつての自分たちすら取り戻せなかった。その当時、森保監督が話してくれた言葉が思い起こされる。

「結果が出ないプレッシャーからか、選手たちの身体がまるで固まっているみたいな状態で試合に入っている。だから1失点して、ようやく目が覚めたように我を取り戻す」

 球際の強さ、ハードワーク、そしてチームのために戦う犠牲心こそが、広島にとって最大の特長だったが、その強みすら欠けているように感じられた。結局、戦い方に関しても、体調不良から復帰して間もなく、ベストコンディションではないMF森崎和幸に頼ることになった。それが奏功して、第12節のヴァンフォーレ甲府戦で6試合ぶりの勝利(2-1)を挙げたが、“ピッチの指揮官“がふたたび戦列を離れると、また試合をコントロールできなくなった。

 選手起用に関しても、疑問符がつく。ゴールという結果を残せずにいたFW工藤壮人やFWアンデルソン・ロペスをはじめとするメンバーを森保監督は起用し続けた。久々に勝利した甲府戦で、ようやく1トップにFW皆川佑介を抜擢したが、無得点のまま6試合も引っ張った。

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