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中国のゲノム研究所、「究極のシークエンサー」の開発に着手──米市場を巡る競争が激化

7/6(木) 18:50配信

WIRED.jp

世界最大規模のゲノム研究所を擁する中国企業「BGI」が、米西海岸の2カ所に新たな研究拠点を発足した。さらには独自の次々世代シークエンサーの開発を進めることが発表されている。シークエンサーを製造する米企業イルミナの最大顧客だったBGIが競争相手に転じることになり、激しい開発競争が始まった。

世界初、DNA的に「3人の親をもつ赤ちゃん」のいま

世界最大の遺伝学研究所があるのは、ハーヴァードでもスタンフォードでも、米国立衛生研究所(NIH)でもない。香港国際空港から約30kmの活気に満ちた中国の大都市、深センにそれはある。BGI(華大基因、旧・北京華大基因研究中心)は、これまで大小さまざまな動植物のDNA配列を解読してきた。キビ、イネ、ジャイアントパンダ、40品種のカイコ、SARSウイルス、さらには「イヌク(Inuk)」と名付けられた4,000年前の古代人まで──(グリーンランドで冷凍状態で発見された毛髪が利用された)。

そして、BGIによる「ゲノムのゲストブック」に、もうすぐ名前がまたひとつ増える。ワシントン大学の13代目のマスコット犬、8歳のアラスカンマラミュート「ダブズ(Dubs)」だ。ワシントン大学の学長は、中国のゲノム解析の総合拠点との新たなパートナーシップの象徴として、ダブズのDNAを提供することにしたのだ。

同校以外にも、複数の米研究機関がBGIと提携を結んでいる。2017年5月17日、BGIはシアトルとサンノゼの2カ所に拠点をおく西海岸イノヴェイションセンターの発足を発表した。シアトル本部はプレシジョンメディシン(精密医療:個人の遺伝子情報などを含む詳細な情報を基に、より精密な対応を行う医療)にフォーカスし、ワシントン大学のほか、アレン脳科学研究所、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ワシントン州立大学と共同研究を実施する。

一方、サンノゼには以前からBGIのラボがあり、100人超の職員を抱える。ここでBGIは今後、次々世代シークエンサー技術の開発に着手する。米国のシークエンサー大手イルミナ(Illumina)がこれまで独占していた分野だ。

BGIの創設者兼代表、汪建(Jian Wang)は「目的は、中国と米国の研究者間の協力を促進することです」と語る。「より緊密に連携し、両国の医療界に病気の予防や治療の新たなツールを提供したいと考えています」。シアトルの研究拠点でおこなわれているプロジェクトには、がんのバイオマーカーの特定や、ヒト脳細胞のマッピングなどがある。また、大規模な公衆衛生研究の発足も議論されている。これらの共同研究の将来には、多くの研究者が大いに期待していると言う。

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最終更新:7/6(木) 18:50
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