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静岡県知事続投で浜岡原発“塩漬け”、中部電力の苦境

7/6(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 中部電力とっての今後4年間は、再び憂鬱なものとなりそうだ。

 6月25日に投開票が行われた静岡県知事選挙で、無所属で現職の川勝平太氏が当選した。川勝氏は今回の選挙戦を通して、一貫して中部電の浜岡原子力発電所について「再稼働を検討できる段階にはない」と明言。当選後の定例記者会見でも、現時点では再稼働を認められないという考えを改めて示している。

 原発再稼働には立地する都道府県知事の承認が必須で、電力会社にとって知事は、再稼働可否を実質的に判断する最重要人物。中部電は現在、浜岡原発3、4号機の再稼働へ向けて、原子力規制委員会で新規制基準適合の審査を受けるなど準備を進めている。だが、知事に川勝氏が就任することになったため、少なくとも今後4年間は再稼働できる可能性が極めて低くなった。

 そもそも、浜岡原発の再稼働にはいくつもの高い壁が立ちはだかっていた。例えば浜岡原発から30㌔㍍圏内にある11自治体のうち、3市が再稼働に反対している。さらに、5月25日に原子力規制委で行われた4号機の審査会合で、規制委からは「新規制基準の基本的な考え方が理解不足だ」と厳しい批判を受けたばかりで、審査対応にも手間取っていた。

 現在、沸騰水型原子炉(BWR)では、原子力規制委に7原発9機が再稼働へ向けて新規制基準の適合性審査を申請している。その“審査レース”では、東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原発6、7号機が一番手でもっとも進んでおり、二番手として日本原子力発電の東海第2原発、そして三番手グループとして東北電力女川原発2号機と中国電力島根原発2号機、浜岡原発3、4号機となっていた。だが、前述した状況に加えて、今回の川勝氏の知事就任により、三番手グループからの脱落も濃厚で、浜岡原発の“塩漬け”は確定的だ。

● 停滞感漂う原発部門

 川勝知事就任による影響は、中部電だけにとどまらないだろう。BWRの原発を保有する東京電力や東北電力などを巻き込んだ、原子力事業の再編のトリガーとなるかもしれないからだ。

 中部電は3、4号機の再稼働へ向けて、総額4000億円の安全対策投資を行うと見積もっており、すでに前期末時点で約2000億円が投じられた。勝野哲・中部電社長は6月28日開催の株主総会で「投資回収できる範囲だ」と延べ、今後も残りの投資を継続する姿勢を変えていない。

 だが、早期再稼働が絶望的となった今、投資回収が不能になるリスクを懸念する声が早くも業界内から上がっている。

 また、最悪の場合、もはや浜岡原発は収益を生み出さないとして、減損を迫られるリスクも顕在化するだろう。東日本大震災直後、当時の菅直人首相によって強制的に停止させられて以来6年間、一度も再稼働できておらず、加えて今回の状況が重なれば当然のこととも言える。

 そこで、これらのリスクを軽減すると同時に、新規制基準の適合性審査を効率良く進める、“ウルトラC”として、今後、中部電が他電力との連携を模索することも十分に考えられる。

 中部電関係者によれば、「原子力部門では一向に先が見通せないため、停滞感が漂っている」という。八方塞がりの中部電には、現状を打破する抜本的な策が求められていると言えそうだ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)

週刊ダイヤモンド編集部

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