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食中毒にならない弁当の作り方――鶏のもも肉と胸肉、弁当向きなのはどっち?

7/6(木) 8:50配信

週刊SPA!

 湿度と気温が上がってくるこれからの季節、気になってくるのが食中毒など食品の衛生問題だ。食中毒全体の発生件数は平成26~28年で見ると増加傾向。中には職場や学校に持っていく一般家庭のお弁当を食べたことが原因となったケースもある。

⇒【写真】チャーハンも実は危険…

 そこで本記事では傷みにくいメニューや調理方法など、一般家庭でお弁当を作る際に食中毒を防ぐためのノウハウを紹介していこう。

◆鮮度だけ見るな!食材の加熱がいかに重要か

 調理して時間が経ってから食べるのがお弁当。安全な消費期限の目安はあるのだろうか?

「もちろん条件によって大きく変わってきますが、家庭で作られる弁当は“長くて7時間”をひとつの参考にするといいでしょう」。

 こう語るのは、保健師や食品衛生責任者などの資格を持ち、お弁当宅配&ケータリングサービス『ごちクル』で品質管理を担当する笹川絵美氏。

「食中毒予防では、細菌の場合は中心温度75度で60秒。ノロウイルスも85度90秒で死滅すると言われています。調理後に菌が増殖することを考えると、しっかり加熱し殺菌するのが大切です」(同氏)。

 例えば炒め物。

 加熱ムラを防ぐため、食材別にボイルしてから合わせたり、ソテーの場合も表面を焼いたあとスチームコンベクションで20~30分ほど蒸し焼きにし完全加熱するといった工夫は有効だ。ほかにも、蓋をして蒸し焼きにしたり、電子レンジを下ごしらえに上手に使うことで食中毒は防げる。

 そのため、長時間しっかり加熱するのをためらう食材の使用は夏場は避けたほうがよい。

◆鶏肉は胸肉よりもも肉を選べ

「もやしは注意が必要です。水分や菌数の多い野菜というのもさることながら、食感を残すためしっかり加熱されずに菌が残ってしまうことがあります。そういう意味で、同じ鶏肉でも胸肉はしっかり加熱すると硬くなってしまうため手加減しがち。もも肉なら煮込み料理など確実に完全加熱できるメニューが作れるため、お弁当に向いていると言えます」(同氏)

 また、魚介ウインナーやかまぼこなど、一般的に加熱行程を必要としない食材も、お弁当では一回加熱したほうがベター。加えて、「お米やパスタなど穀物類には土壌などを中心に自然環境に広く分布するセレウス菌が多く、加熱調理後、時間が経ったものをなるべく使わないよう気をつけたほうがよい」とのことだ。

 またお弁当でしばしば出されるチャーハンにも意外な落とし穴が。

「チャーハンは再加熱するからと古いご飯を使いがちですが、チャーハン程度の再加熱だと不十分。再加熱で爆発的に増殖することさえあります」(同氏)。

 安全と思い込むメニューほど注意が必要だ。

◆生きゅうりではなくピクルスに。工夫次第でNG食材も安全に

 しかし、前述した危険を伴う食材も、味付けなどの工夫でリスクを減らせる場合も多いとか。

「もやしも、しっかりと加熱する、お酢を使うレシピにするなどで細菌増殖リスクを低下させることができます」(同氏)。

 お酢のほか、ワサビやしょうが、カレー粉に使われるクミンやクローブといったスパイスにも制菌効果がある。また加塩・加糖を通常よりもしっかりすることで水分活性を抑え、菌が増殖しにくくなる作用も。「塩漬けや糖漬け、干物が日持ちするのは水分活性を下げているから。きちんと糖分や塩分と結合した水は菌が増えるために利用できない」(同氏)。

 具体的には、生のきゅうりの代わりにピクルスを使ったり、塩胡椒やワサビを入れてしっかり味付けすると食中毒リスクを減らせる上、おいしく仕上がる。

 さらに、加熱の次に鍵となる行程が冷却だ。

 ある程度の量を作るのが前提となるつくりおきの場合、アツアツのおかずを深いタッパーに入れて保存……となると、中のほうが冷却されなくて腐敗、菌の増殖が進む原因になる。

 料理は加熱して広げたり、小分けにしたり、器ごと冷水で速やかに冷却するのが基本だ。「十分に冷ましてからの盛りつけが基本。家庭の場合、お弁当箱の下に保冷剤を置き、冷たいものは後にしてごはんなど温かいものを先に盛り付けて冷ましてしまうのも有効な手段と言えます」(同氏)。

◆菌の増殖を防ぐ必須アイテム。まな板は安いものを買い換えよ

 調理する上で注意すべき道具はまな板だ。

「まな板は材質が木だと傷がつきやすく隙間に菌が入り込みがち。完全な漬け込みによる除菌も難しく、菌が繁殖しやすいとされています。なにより値段が高く買い替えに勇気がいるので、家庭レベルならば安価なものを頻繁に取り替えるのも手です」(同氏)

 ちなみに、人の常在菌である黄色ブドウ球菌などが原因で傷むこともあるおにぎりは、エンボス手袋やラップを使うなどして、素手で握らないことが第一。

 すべてを完璧に実行できなくとも、こういった小さな意識の積み重ねで一般家庭での食中毒リスクは大幅に減らせる。ぜひとも参考にしてほしい。

<取材・文/伊藤綾>

日刊SPA!

最終更新:7/6(木) 8:50
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