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激変する時代を乗り越える、グローバル人材戦略の“未来像”~味の素高倉氏×カゴメ有沢氏×早稲田大白木教授【HRカンファレンス2017春】

7/7(金) 7:30配信

日本の人事部

グローバル化が加速し、テクノロジーが進化する中、人事にはどのような課題が待ち構えているのか。また、これからのグローバル人材戦略はどうあるべきなのか。企業のグローバル展開に関する研究の第一人者である早稲田大学の白木三秀教授の司会のもと、歴史ある日本企業を短期間でグローバル企業に改革した、味の素の高倉氏、カゴメの有沢氏がそれぞれの取り組みを紹介した上で、グローバル人材戦略の“未来像”について語りあった。

海外売上比率と人材育成の相関性

最初に、本セッションの問題意識として、白木氏がリサーチ内容を紹介した。

「海外のローカル人材に経営資源を投入して育成していくことは、現地法人の採用力やモチベーション向上にも直結する重要なテーマです。『日本の本社が海外現地法人において、人材育成にどれくらい関与しているか』を調べたところ、海外売上高比率と強く相関していることがわかりました。今後、海外生産比率の高い企業では、どういう形でHRMシステムを適応して動かしてくかが、大変重要な課題になります。味の素、カゴメとも、ローカルの状況に合わせることが重要な食品を扱っています。つまり、グローバル展開を行いながら、ローカル適応も同時に実現させる、という難しい課題に向き合っているのです。本日は両社の事例を通じて、これからのグローバル人材戦略について考えていきましょう」

高倉氏によるプレゼンテーション:グローバル共通のプラットフォーム構築

まずは味の素の高倉氏が、ここ3年で作ったというグローバルプラットフォームについて語った。

「味の素では、海外売上高比率が5割を超え、今まで通りローカルに任せたグローバルポリシーでは立ち行かないと考え、グローバルプラットフォームを作りました」

味の素は世界の食品業界において営業利益ベースでトップ30クラスに位置し、2020年までにトップ10入りを目指している。そのためには、人事制度のグローバル化戦略が欠かせない。しかし、3年前に外資系企業から入社した高倉氏は、五つのことに驚いたという。

「一つ目は、将来の戦略に合った適所適財を実施する仕組みが不充分ということ。二つ目は、一つ目の仕組みづくりのためにはポジションの要件が必要ですが、どんな戦略から来てどんな職務要件と人財要件がいるのかが不明確だったこと。これら二つに対しては、職務要件と人財要件の明記、タレントマネジメントを実施。ポジションマネジメントとタレントマネジメントの両輪で、グローバルの人事制度の根幹を司ります。管理職1400ポジションの職務記述書、約200のグローバルのキーポジションの職務要件を作り、全員が見えるようにするためHRITに入れました。『やりたいポジションがあったら、これを見てください』『これに成長のヒントが書いてあります』というメッセージを込め、オープンにしたのです」

三つ目は、多様性の定義が必要な状況だったこと。女性や外国人視点ではなく、一人ひとりの個性や強さに着目するようにした。四つ目は、戦略実行のスピードの遅さ。決定者もわかるよう、ガバナンス上の決定プロセスを明確化した。五つ目は、変革を推進する上での味の素のDNAが不明確という点。これについては、人事施策に「らしさ」が反映されるべきだと高倉氏は考えた。

「次世代リーダーの要件の定義」は、2年前に役員全員に考えてもらったという。その中で着目すべきフレーズは「複雑な状況への対処」「あいまいな状況への対応」だ。今後、不確実な変化が起きる中で、それを処理できなければ、将来の味の素を担えないからだ。

「タレントマネジメントは、本社、各地域本部、海外法人が同じ形で人財会議を開き、Future Leadeship Competency、Sustainable Performanceの両軸で人財をポジショニングします。戦略を司る重要なグローバルキーポジションは共通ルール、また、基本ポリシーはグローバル共通としながら、ローカルの状況に即した運用にするため、各法人の運用裁量に依存する、という方針を決定しました」

ここで高倉氏は、今考えるべき「人財マネジメント変革の課題」を六つ挙げた。一つ目は、将来の市場変化をふまえた人財要件変化への納得。二つ目は、単なる性別や国の違いではない“個”を尊重する多様性の受容。三つ目は、シンプルでクリアな統一ルールと現地への権限委譲。四つ目は、新しい価値創造(失敗も含めて)を称賛できる風土醸成。五つ目は、上下にとらわれず、自分でSpeak upし、Self-learningし続ける風土醸成。六つ目は、変革を進めるチーム作り(新人×変人×強人)で目標を達成すること。「売上を上げて勝っていくことにやりがいを持てなければ、グローバルの中では勝てません」と、高倉氏はプレゼンテーションを締めくくった。

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最終更新:7/7(金) 7:30
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