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ハチドリの驚異の飛翔術、なぜこんなに高速で自在なのか

7/7(金) 14:52配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 ハチドリは究極の飛翔術をもつ鳥だ。

 体は世界最小ながら、宝石のように鮮やかな翼を羽ばたかせ、電光石火のごとく飛び回る。羽ばたきの回数は毎秒100回、心拍数は毎分1000回に達する種もいる。30秒以上もホバリングできたり飛びながら後退できたりと、ほかの鳥にはない特徴もある。

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 ハチドリはなぜこんなに速く、自在に飛ぶことができるのか?

 この答えを出そうと実験を試みたのが、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校で生体力学を研究するタイソン・ヘドリック。ハチドリの翼の骨格はほかの鳥に比べ、「腕」に当たる部分が相対的に小さく、「手」に当たる部分が大きい。最高速で羽ばたく際の骨格の様子を透視するため、毎秒1000コマの高速度カメラとX線カメラを併用した。

手首を使って飛ぶ

 撮影した映像をコマ送りで見ていくと、翼の骨の細かな動きが一定のパターンを形成し、一連の動きへとつながっていく様子がわかる。そこで判明したのは、ハチドリは肩よりもむしろ、人間の手首に当たる部分を使って羽ばたいているということだった。これにより、筋肉がたった1ミリ動くだけで翼は大きな弧を描くことができるのだ。

 また、ほとんどの鳥は、翼を背中側から腹側へ打ち下ろすときにだけ揚力を得ている。一方ハチドリは、翼を腹側から背中側へ打ち上げるときにも、打ち下ろすときと同様の動きができるので、どちらの方向でも揚力が発生し、ホバリングが可能になる。人工の霧の中でアンナハチドリを観察すると、打ち下ろしや打ち上げが終わって反転するたびに、翼が空気の渦を作り出すのがわかる。

 そのかわり、代謝率は脊椎動物のなかで最も高い。ハチドリが人間ぐらいの大きさだったら、1分ホバリングする間に330ミリリットルの甘い炭酸飲料を1本以上飲み干さないと、エネルギーの供給が追いつかないという研究結果を、カナダのトロント大学が2013年に発表している。蜜のある花をめぐって、ハチドリ同士が空中戦を展開するのも納得できる。

 ナショナル ジオグラフィック7月号「ハチドリ 究極の飛翔術」では、ハチドリの小さな体に秘められた究極の機能の数々を紹介する。

Brendan Borrell/National Geographic

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