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『横尾忠則 HANGA JUNGLE』展

7/7(金) 11:31配信

中央公論

自由奔放なポップアートの寵児

 本展は横尾忠則が一九六八年から現在に至るまでに手がけた二三〇点を超える版画作品を紹介し、あわせて六〇年代後半の代表的ポスターなど約二〇点も展示する企画だ。
 私が横尾を知ったのは唐十郎が主宰する劇団「状況劇場」のためのポスターだが、《腰巻お仙》などは、掲示用ポスターではなく、観客への土産のようなものとして制作されたシルクスクリーン作品だという。このあたりの複雑な事情を示すべく、本展の第・章は「HANGA ポスター?版画?」と題され、従来ポスターに分類されてきた六〇年代後半の作品をファインアートとみなし、HANGAと表記している。
 横尾はグラフィック・デザイナーの立場で六〇~七〇年代に版画制作にも取り組んだ。八〇年にニューヨーク近代美術館で開かれた大規模な「ピカソ展」を観て衝撃を受け、芸術家は何をやってもいいんだと確信し、デザイナーから画家へ転身したことは有名だ。
 六〇年代の横尾は、ニューヨークで生まれたサイケデリックな作品やポップアートを日本人の先頭に立って実践したデザイナーだった。七〇年代には南海の楽園や千年王国、仏教世界をイメージした作品で多くの若者を惹き付けた。
 そうした作品を九〇年代の横尾は新たに再生させる。一九七〇年の『平凡パンチ』誌上に発表された《浅丘ルリ子裸体姿之図》を二〇〇二年に版画化したのが《マドンナのいる風景》だ。青春時代を懐かしむ人だけでなく、若者たちにも、自由奔放に表現し続ける横尾の作品世界は楽しめるに違いない。

6月18日(日)まで町田市立国際版画美術館
2017年9月9日(土)~12月24日(日)横尾忠則現代美術館(兵庫県神戸市)
(了)

安村敏信 萬美術屋

最終更新:7/7(金) 11:31
中央公論

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