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100万年前のハイエナの糞の山を発見

7/7(金) 16:50配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

生息環境やほかの動植物についても明らかになるかもしれない

 スペインの2カ所の人類遺跡を発掘中に、100万年前のハイエナの糞の山が発見され、考古学者たちを驚かせている。しかし、これはすばらしい発見だ。

【写真】発見されたハイエナの糞化石

 ハイエナは獲物の骨まで食べ尽くす肉食動物だが、縄張りの中の糞場と呼ばれる決まった場所で排泄することで、身の周りを清潔に保ちつつ、自分の縄張りを主張している。

 ハイエナの糞の化石(糞石)には、骨の破片、菌類、草や木の花粉などが入っている。こうした内容物は、糞石の大きさや質感とともに、遺跡が当時どのような環境にあったのかを知るための手がかりとなる。

 アルゼンチン、ベルナルディーノ・リバダビア国立自然科学博物館の古生物学者マルティン・エスクラ氏は、今回の研究には参加していないが、糞石の外見から、当時その土地が湿潤だったか乾燥していたかがわかると言う。

「糞石の表面に、乾燥によるひび割れが見られることがあります。これは、糞が乾いた環境にあったことを意味します。けれども今回発見された糞石のほとんどはひび割れがなく、中から発見された花粉の種類と考え合わせると、湿潤な環境だったようです」

掘り出し物

 糞石は、化石記録としては珍しいものではない。これまでに見つかった中で最大のものはティラノサウルスの糞石だ。また、ネアンデルタール人の糞石からは、彼らの複雑な食生活が明らかになっている。

 しかし、単独の糞ではなく、糞場がそのまま化石になったものが見つかることはまれだ。

 スペインのカタロニア人類古生態学社会進化研究所の大学院生アントニオ・ピネーダ氏は、人類の石器や痕跡を探して遺跡を発掘していたときに、ハイエナの糞場を発見した。

「私たちは発掘を中止して、ハイエナの糞場を調べることにしました」と彼は言う。

 研究チームはスペインの2カ所の遺跡、グラン・ドリーナ遺跡とラ・ミーナ遺跡でハイエナの糞場を発見し、学術誌『Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology』8月号に論文を発表した。どちらの遺跡も100万~80万年前の環境を保存している。

 現代のハイエナは、アナグマやカワウソなどの肉食動物と同じように、社会的行動の1つとして糞場を作る。ハイエナのように獲物を骨まで食べる肉食動物はほとんどいないため、スペインで見つかった糞場がハイエナのものであることはすぐにわかった。

 現代のハイエナの糞は、摂取した骨に含まれるカルシウムのせいで明るい白色をしている。ピネーダ氏のチームが糞石の化学組成を調べたときにも、カルシウムとリンの濃度が非常に高かった。

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