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アパレル業界はなぜ崩壊していくのか? 売れ残りの墓場、販売員の労働実態は…

7/7(金) 19:10配信

NIKKEI STYLE

■ビジネスモデル崩壊の現場をルポ

 ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は4月に訪れた青山ブックセンター本店を再び訪ねてみた。ホリエモンこと堀江貴文氏の『多動力』は、ここでもベストセラーを快走する。そんな中、売り上げを伸ばしていたのは、アパレル業界に焦点を当てたビジネスノンフィクションの一冊だった。

 その本は杉原淳一、染原睦美『誰がアパレルを殺すのか』(日経BP社)。ビジネス誌「日経ビジネス」の記者2人がアパレル産業衰退の要因を解き明かし、未来へのヒントを探った業界ルポだ。業界といってもアパレル企業だけのルポではない。生地や糸を生産する「川上」から、アパレル企業などの「川中」、そして最終的に消費者と向き合う百貨店、ショッピングセンター(SC)といった「川下」までを取材対象とし、衰退の現場をあぶり出す。ルポならではの臨場感と関係者の肉声が本書を迫力のあるものにしている。

 冒頭のルポは、いわゆるバッタ屋の倉庫の光景。段ボール箱が次々運び込まれ、箱を開けると大手アパレルや若者に人気のブランドの衣料品が仕分けられていく。定価で売れず店舗でのセールでも売れ残り、ファミリーセールでもアウトレットモールでも売れ残った商品だ。「アパレルの墓場」と著者たちは表現する。ここから大量の売れ残りを前提に価格設定し、無駄な商品を作りすぎている業界構造が見えてくる。市場規模はこの25年で3分の2に減った。ところが、商品点数は倍増している。「必ずムダな在庫を生む仕組み」がアパレル業界には組み込まれている。そんないびつさが描かれる。

 アパレル崩壊とともに沈む百貨店の売り場、中国に生産シフトした結果、力を失ったものづくりの現場、かつてはハウスマヌカンやカリスマ店員と呼ばれ、光を放っていた最前線のショップ販売員の希望が見えない生活労働実態……。印象的なアパレル崩壊の景色をスケッチしては構造的問題点を指摘していく。

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最終更新:7/7(金) 19:10
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