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JUMP知念侑李『忍びの国』で見せた表現力の豊かさ 憧れの大野智と共演が示す未来

7/8(土) 6:00配信

リアルサウンド

 夏休み興業の先陣を切って7月1日から公開された映画『忍びの国』。人気作家・和田竜が、『のぼうの城』に引き続き原作と脚本を務めた時代劇エンターテインメントだ。週末動員ランキングでこそ、ロケットスタートを切った『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』の勢いに屈して2位スタートとなったが、夏休み映画らしい幅広い世代に支持されるタイプの作品だけに、息の長いヒットが予想される。

 本作で注目したいのは、主演の忍者・無門を演じる嵐の大野智と、敵対する武将を演じるHay!Say!JUMPの知念侑李という、ジャニーズの人気アイドルグループのメンバーふたりの共演である。これまでジャニーズアイドルの出演映画となると(生田斗真や風間俊介、高田翔といった俳優メインの活動をしているジャニーズを除けば)、友情出演として先輩や同じグループのメンバーが出演したり、キャリアの浅いJr.メンバーを端役に抜擢したりすることはあったが、一線級で活躍する別のグループのメンバーがメインロールで共演することは珍しかった。

 ところが、今年に入ってからは『破門 ふたりのヤクビョーガミ』で関ジャニ∞の横山裕とジャニーズWESTの濱田崇裕が共演。現在公開中の『こどもつかい』では滝沢秀明とHey!Say!JUMPの有岡大貴が共演するなど、これまでの慣例が徐々に変化してきているのだ。

 同じような時期が10年以上前にもあった。2005年に公開された映画『東京タワー』では、V6の岡田准一と嵐の松本潤が共演。同作を契機に岡田は俳優として日本映画界のトップを走る存在にまで成長した。一方で、松本は同作の直後に『花より男子』(TBS系)で一世一代の当たり役をゲットし、アイドル俳優としての成功を果たす。また同じ年にはTOKIOの国分太一とKinKi Kidsの堂本剛が共演した『ファンタスティポ』も公開。その頃からTOKIOはアーティストとしての色を強くし、ジャニーズ内では新しい世代のグループの活躍が目立ちはじめてきたのである。

 となれば、この2017年に再びグループの垣根を超えた共演が相次いでいるのは、ジャニーズアイドルの次世代へのシフトが始まっているということにほかならない。SMAPの一連の騒動が収束した今、大野がリーダーを務める嵐は国民的アイドルグループから、事務所を牽引する万能グループへと成長し、知念が俳優活動をこなしていくことで、Hey!Say!JUMPの知名度はより上がっていくに違いないだろう。

 もともと知念侑李はJUMPの中でも、最も俳優としての才能を持つメンバーのひとりだ。同グループ内には『ピンクとグレー』でジャニーズらしからぬ体当たりな演技が評価された中島裕翔や、正統派ジャニーズアイドルとして輝きつつも一昨年の『グラスホッパー』で開眼した山田涼介がいるが、明確に住み分けがされているのは、カラーの違うメンバーが集まったJUMPの最大の強みだろう。

 2014年からは東山紀之が主演を務めた『必殺仕事人』シリーズ(テレビ朝日系)に抜擢され、一昨年には大ヒット作『超高速!参勤交代』では弓術に長けた家臣を演じるなど、ジャニーズの若手の中でずば抜けた時代劇への適性の高さを見せる知念。彼はステージ上で見せるアイドルとしての魅力と、演技の場で見せる俳優としての素質を巧みにスイッチすることができる、正統派のジャニーズ俳優というわけだ。

 今回『忍びの国』で彼が演じるのは織田信長の次男・信雄。伊勢国の元国司である北畠氏の家に入り、伊勢国に続いて“忍びの国”である隣国・伊賀を制圧しようと企てる織田軍を率いる武将である。豪快な織田の軍勢に対し、気の弱く優柔な彼の雰囲気は、まさに“面倒な国を押し付けられた”という空気が溢れていて、本作の軽快なイメージにマッチする。前述した『超高速!参勤交代』に続いて、本作でも弓を射るシーンが登場するのだが、今回は役柄に合った不慣れな手つきで構えるあたりも、彼の表現力の豊かさを感じるばかりだ。

 そんな知念といえば、大野智に憧れてジャニーズ入りしたことで知られている。本作の初日舞台挨拶では、大野との共演に「デビューより嬉しかった」と喜びを爆発させる一幕も。その大野は本作の劇中で、イメージ通りの飄々としたキャラクターと高い身体能力を披露し、先輩としての威厳を堂々と見せつけていた。そうなれば次は知念が先輩としての威厳を見せつける時代がやってくる。

 12月に公開される映画『未成年だけどコドモじゃない』で知念は、またしてもジャニーズの別グループのメンバー、SexyZone中島健人と共演となる。知念と中島は同学年ではあるが、事務所への入所は知念の方が先輩で、NYCの前身グループ・NYCboysでは共に活動した仲間。俳優としてのキャリアでも一歩リードしている後輩との共演に、どう立ち向かっていくか楽しみだ。

久保田和馬