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大画面でもベゼルはスリム!10.5インチの新型『iPad Pro』を使ってわかった○と×

7/8(土) 8:30配信

@DIME

 6月に開催されたWWDCでお披露目された新しいiPadが、10.5インチ版のiPad Proだ。当初は12.9インチ版のみだったiPad Proだが、昨年、アップルは従来のiPadと同じ画面サイズとなる9.7インチ版のiPad Proを発売。この9.7インチ版と入れ替わる形でラインナップされたのが、10.5インチ版となる。

 単にディスプレイサイズが変わっただけでなく、ベゼルが従来のiPadよりスリムになるなど、前面のデザインを一新。iPad Proシリーズの特徴でもある、Apple PencilやSmart Keyboardにも対応する。これまでのiPad Proとの最大の違いはディスプレイにあり、フレームレートが最大120Hz駆動にアップ。これによって、より滑らかな表示を実現したというのが、10.5インチ版iPad Proの売り文句だ。

 では、サイズやフレームレートなど、ディスプレイが大幅に変わったことで、iPad Proの使い勝手はどう変化したのか。発売日にセルラー版を購入した筆者が、自腹レビューをお届けする。

■120Hz駆動のディスプレイで、指に吸いつくような動作を実現

 ディスプレイのフレームレートが60Hzから最大120Hzになったといっても、10.5インチ程度ではあまり効果が分からないと思うかもしれない。確かに、動画などを見ているだけだと、はっきりとした差は認識できない。一方で、iPad Proはタッチパネルを搭載しており、操作に対するレスポンスのよさとしてディスプレイのフレームレートが生きてくる。

 iPad Proに触れる機会があったら、ぜひホームボタンをダブルクリックして、アプリを切り替えてみてほしい。それだけで、120Hz駆動のディスプレイの絶大な効果が十分分かる。従来のiPadやiPad Proもスムーズだったが、10.5インチ版の操作感はまるで別次元。指に吸い付くように、滑らかに動くとはまさにこのことだ。

 とはいっても、「プラシーボ(偽薬)効果でしょ?」と思われる方もいるかもしれない。120Hzだとあらかじめ聞いているから快適だと思ったのではないか。そんな疑惑を払しょくするためか、iPad Proは「設定」にある「アクセシビリティ」で、フレームレートを60Hzに制限することが可能だ。これで制限を加え、比較してみると、動きの違いは明白。スクロールなどの操作の快適さが、劇的に変わっている様子はぜひ体感してみてほしい。

 もちろん、アプリの切り替えだけでなく、ブラウザのスクロールや、電子雑誌のページめくりなど、何か操作を加える際には120Hzのディスプレイが役に立つ。そこまでのスムーズさはいらないと思っていても、一度、これに慣れると、元に戻ったときにどこかぎこちなさを感じてしまうから、人間の感覚とは不思議なものだ。

 この滑らかさは、iPad Proの特徴のひとつであるApple Pencilを利用する際にも、プラスになる。Apple Pencilに対してより画面の描画がきっちり追従するようになり、今まで以上に、実際の紙とペンに近い感覚を味わえる。数値で表すと、違いはコンマ数秒と微々たるものかもしれないが、人間の感覚は思っていた以上に繊細で、きっちり違いを見分けているのだ。結果、より細かな字が書きやすかったり、塗りつぶしが正確にできたりといったメリットがある。

■CPUは最高クラスでメモリも大容量とパフォーマンスも十分

 パフォーマンスが高いのは、ディスプレイだけではない。CPU、メモリ、ストレージといったタブレットの基本要素も、最高クラスなのが10.5インチ版iPad Proの強みと言える。まず、CPUについては、アップルの「A10X Fusion」を搭載する。このCPUは、iPhone 7に搭載されていた「A10」をさらに強化したもので、パフォーマンスは歴代最高だという。実際にベンチマークを取ってみると分かるが、その数値は他のスマホやタブレットを凌駕している。

 iPad向けには、元々高精細なグラフィックスを多用したゲームなどのアプリが多く、実用系アプリの中にも3Dのレンダリングを駆使するものがある。こうしたパフォーマンスを必要とするアプリを利用する人にとって、10.5インチ版iPad Proは最適なデバイスといえるだろう。軽めの作業をしただけではパフォーマンスの違いが分からないかもしれないが、これを機に、動画の編集をしてみたり、ゲームを楽しんでみたりしてもいい。今後増えるであろう、「ARKit」対応のアプリを使う際にも、うってつけのデバイスになるはずだ。

 9.7インチ版のiPad Proは、メモリが2GBで“Pro”をうたうにはやや心もとないスペックだったが、10.5インチでは4GBになっているのもうれしいポイント。メモリが少ないと、バックグラウンドでアプリが落ちてしまったり、ブラウザのタブを開いておいたりしても再読み込みになってしまったりと、使い勝手に影響が出るだけに、ここが強化されている点は歓迎できる。

 9.7インチ版との比較では、ストレージの容量が上がっているのも評価できる。9.7インチ版iPad Proは、32GB、128GB、256GBの3構成だったが、10.5インチ版では、64GB、256GB、512GB版の3構成になっている。価格はそれぞれやや上がっているが、事実上、容量が倍増したと捉えることが可能だ。特に最小構成の容量が32GBから64GBに増え、より実用的になっている。iPad用のアプリはサイズが大きいことも多く、32GBだとインストールできる量が限られてしまう。

 映画などの動画を持ち歩くと、なおさらストレージが圧迫される。もちろん、64GBに増えても限界があることに変わりはないが、アプリのサイズ自体は倍増したわけではないため、そのぶん、動画や写真を入れてもいいし、インストールするアプリを増やしてもいい。逆に、iPadのストレージに動画や音楽、写真などのデータを入れ、持ち歩く人にも、最大容量が512GBに上がったことで、使い勝手が増したはずだ。

■Apple SIM対応で通信環境も万全、アクセサリーは今後の課題か

 過去のiPad、iPad Proで好評だった機能も、しっかり受け継がれている。通信機能も、性能が上がった。対応バンドは歴代のiPadの中で最多となり、ドコモのBand 21(1.5GHz帯)も利用可能になった。iPhone 7、7 Plusで対応したため、iPad Proにこのバンドが入ってくるのは自然な流れだが、Band 21は特に都市部で重要な周波数帯。ドコモの場合、下り最大375Mbpsのネットワークで利用できる。9.7インチ版は262.5Mbpsだったので、より快適になっていることは間違いない。

 実際、東京・渋谷にある筆者の事務所で速度を測定してみたところ、下りは、夜間で37Mbps近い速度が出ていた。理論値と比べるとおよそ1/10程度だが、比較的混雑しやすい場所で、ここまでスピードが出ていれば実用上、まったく問題はなく快適だ。iPad Proはバッテリー容量も30.4Whと大きいため、使っていないときはテザリング用のルーターとしても活躍する。

 Apple SIMを内蔵しているため、日本でauやソフトバンクのプリペイドプランを契約したり、海外で現地のキャリアの割安なプランを選んだりすることも可能だ。プリペイドは、使うときと使わないときの差が大きい人向け。国によってはローミング専用キャリアしか選べないときもあるが、米国のT-Mobileのように、Apple SIM向けの割安なプランを出しているキャリアもある。渡航先次第だが、海外出張時などにも頼もしい存在になることは間違いない。

 iPadではあまり使わないかもしれないが、カメラ機能も向上し、iPhone 7と同等になった。試しに何枚か撮ってみたが、確かに暗い場所でもノイズが少なく、キレイに写る。一方で、タブレットに、はたしてここまで精細なカメラがいるのかという疑問は残った。iPadは基本的に、スマホがあったうえでの2台目端末になる。撮影も、1台目のスマホで済ませるという人が多いはずだ。となると、ここまで高性能にする必要はないだろう。

 むろん、iPad Proでそのまま撮影できた方が便利なケースもあるし、カメラを使って画像認識するような機能、アプリも存在する。そのため、カメラを搭載しないという選択肢はないだろう。ただ、カメラの性能をもっと抑えれば、背面の出っ張りをなくせたり、コストを抑えられたりといったメリットも生まれる。引き算がうまいといわれるアップルだが、ことiPad Proのカメラに関しては、ややスペックに走りすぎてしまっているきらいがあるのが残念だ。

 10.5インチという新しいサイズゆえに、アクセサリーが少ないのも、アップルらしくないところ。Apple PencilやSmart Keyboardなど、純正のアクセサリーは用意されているが、サードパーティ製のものはまだまだ少ない。純正でも、スリーブケースやスマートカバーなどの入荷が遅れているためか、発売から1週間経った今でも、ほしかった色のスリーブケースがなかなか手に入らない。時間とともに解決する問題であるとは思うが、今後に課題が残された格好だ。

 このように細かな不満点はあるものの、iPad Proは、現状で最高のタブレットのひとつと断言できる。さらに、iOS 11の配信が始まれば、ファイル単位でデータを管理できたり、アプリをまたいでデータをドラッグ&ドロップできたりと、よりPCライクなタブレットに生まれ変わる。使い勝手がどこまで上がるかは未知数な部分もあるが、利用シーンが今まで以上に広がることを期待したい。

【石野's ジャッジメント】
UI         ★★★★★
レスポンス     ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
アプリの数     ★★★★★
文字の打ちやすさ  ★★★★
質感        ★★★★★
撮影性能      ★★★★★
オリジナリティ   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

@DIME編集部

最終更新:7/8(土) 8:30
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