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ニコラス・エドワーズ、パフォーマンスにこめられた“決意” 熱狂生んだ恒例サマーコンサート

7/8(土) 13:00配信

リアルサウンド

 彼は、上下白の出で立ちでステージへと現れた。まさに王子といった容姿からは想像もつかない、突き抜けるようなワイルドな歌声。長身から繰り出されるキックは観るものを圧倒し、上着をはだけさせる仕草は妖艶さを併せ持つ。

 ニコラス・エドワーズが、6月25日にかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで開催した『MOTION 2017 Summer Concert』。今春4月から5月に渡り開催したアコースティックツアー『ALIVE Sessions: Acoustic Tour Spring 29』からまもなくして行われた本公演は、ファンクナンバー「Freeze」で完璧なライブの幕開けを告げると、続くカントリーサウンドでの「モナリザ」、会場にマイクを預ける場面も見られた「W/W/W」へと盛り上がりは加速していく。序盤は、アルバム『GO EAST』、『GO WEST』のナンバーにより構成された。壮大なサウンドからなる「Homebound」、疾走感たっぷりの「DR1VE」、ニコラスの太く伸びやかな歌声が会場に響く「Te Extranare」では、気づけば握るマイクは腰近くにあった。彼の声量がどれほどのものかを物語っているだろう。そして、おもむろにニコラスはジャケットを脱ぎだした。すでに、会場は熱気に満ちている。

 ニコラスは今年、6月13日で来日してから7年が経った。彼は、日本人も顔負けの日本語の語彙力を持ち合わせている。ニコラスの大きなターニングポイントになったのが、2011年6月の『のどじまんTHEワールド』(日本テレビ系)への出演。「世界一日本の歌がうまい“美しすぎる声とルックス“の外国人」と賞賛され、そこから15回連続出場を果たしている。彼とカバー曲とは、切っても切れない縁で繋がっている。先述のアコースティックツアーは、そのカバー中心によるものであった。

 ウクレレを基調とした「Over the Rainbow」を皮切りに、ここからはアコースティックツアーの再現がスタート。ディスコナンバーの「VENUS」では、ニコラスの頭上のミラーボールが回り始める。ピアノのバラード調から、バンドサウンドへと盛り上がりに火が付いていった「Love Phantom」。ニックの伸びやかなアカペラからの「世界が終わるまでは」、そして今回がバンドバージョンでは初披露となる「瞬間speechless」ではラップを、陽だまりのような優しい歌声が会場に響いた「メロディー」とカバー曲がメドレーで披露された。ただ、上手く歌うことは誰にでも出来る。しかし、ニコラスのカバーにはその楽曲への敬意が伝わってくる。故に、聴く者の心にも響いてくるのだろう。はじめにカバーした「Over the Rainbow」は、チャリティコンサート『One Love Manchester』にてアリアナ・グランデが歌唱した楽曲。「世界では、僕にも理解できないことが起きている中で、この曲を歌う度により一層、音楽の力を世の中に発信して、自分が生まれた時より、この世を去った時、愛が増していればいいなと思うので。みんなと音楽で繋がって、共に明るい未来を築き上げていきたい」。真摯に話すニコラスに温かい拍手が向けられた。

 妖艶な雰囲気を纏った「Loving My Lover」では、マイクスタンドを掴みセクシーな仕草を見せる。かと思えば、マイクスタンドを放り投げ、ステージに寝転び、シャウトしながら曲は終了。あまりのパフォーマンスに、会場には驚きの声が上がっていた。どんな体制でも歌うことが出来るのは、彼の持ち前の歌唱力があってのことだ。ニコラスの歌声の潜在力は底知れない。「Let's Be Together」で会場を一つに、沢山の腕が掲げられた「夢を力に」で惜しみない歓声と共に本編を締めくくった。

 みんなで歌おうというニコラスの呼びかけに大合唱が生まれた「My First Love Song」で始まったアンコール。彼の原点の楽曲「朝が来る前に」のカバーを挟み、「She's The Stranger」へ。ここで、楽曲の作曲を手掛けたベーシストのIKUOがスペシャルゲストとして登場。ニコラス本人も「切なさの中に荒々しさ」と表現している通りに、激しいロックナンバーが続く。ラストは、IKUOの太いベースサウンドと共に、ニコラスにとって活動のバックボーンにもなった「Moonlight Carnival」で大団円を迎えた。

 「もう8年目ですよ。“海外から来た男の子”では、もうないです。日本に7年も住ませてもらって、いろんな人と夢に向かって進んできた。そろそろ男らしく、先導をとって進んでいきたいと思っているので。必ずたどり着いてみせます。一緒によろしくお願い致します」。ニコラスは、アンコールの終わりにファンに向けてこう宣言した。7年というワードは、各MCの随所に出てきてはいたが、ここでの彼の言葉は、本心のように聞こえてならなかった。「必ずたどり着いてみせます」という、より高みを目指す彼の言葉には、強い決心が詰まっている。

 そして何より、ニコラスはファンにとってとても近い距離にいる。ダブルアンコールで再びステージに現れた彼は、客席に降りて会場を一周した。「一緒によろしくお願い致します」とニコラスはファンに呼びかけていたが、もちろんここまで来れたのはファンの声援があってのもの。その声を一身に背負い、彼は新たな一歩を踏み出そうとしているのだ。彼の決意の8年目は、すでに始まっている。

渡辺彰浩

最終更新:7/8(土) 13:00
リアルサウンド

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